No Exceptions(ノー・エクセプション)
『THE LINE IS DRAWN(ザ・ライン・イズ・ドレイン)』

フィンランド出身のストレーエッジ・バンドのデビューEP。ボストン・ストレートエッジ・ハードコアの創始者であるSSDから、現在のボストン・ストレートエッジ・ハードコア・シーンを代表するバンドであるNo Tolerance(ノー・トレランス)までを網羅し、ニュージャージーのユースクルー・リバイバルのFloorpunch(フロアーパンチ)や、オハイオ州クリーヴランドのストレートエッジ・バンドのConfront(コンフロント)などの要素を融合したハイブリッドなストレートエッジ・ハードコア。

ヨーロッパのストレートエッジ・バンドからの影響がないアメリカンスタイルのストレートエッジ・ハードコアで、煽情的な分厚い壁のようなギター、ドスの効いた低い声の迫力ある怒声ヴォーカル、苛立ちを表現したような激しいリズムのドラム、1分弱のファストな曲展開で、SSDのような激しく闘争的なストレートエッジ・ハードコア。

歌詞は「NO TOLERANCE(寛容はない)」では<寛容など許さない、お前は自由になれるのに 奴隷になることを選んだ>と歌い、「JUDGED(裁かれる)」では<クソ野郎、多くの人生を台無しにした。責任も取らず、臆病者のように隠れている>と歌い、「PULLED OVER(停車させられた)」では<毛皮を着て、まるで原始人のように振る舞う女たち>と歌っている。

そこには、アルコールやドラッグだけでなく、肉などの動物性食品と、毛皮などの動物由来の製品の着用も否定したヴィーガン・ストレートエッジ・ハードコア思想がある。しかもSSDばりの、アルコールやドラッグを飲む奴らや、動物性食品を食べ、動物性製品を着る奴らに暴力的行動に出るなど、かなり過激な思想を掲げている。

サウンドこそシンプルでクラシックなハードコアだが、ストレートエッジが暴力的だった時代の恐怖を現代に甦らせたバンドなのだ。