イランはテヘラン出身のDjentcore(ジェントコア)・バンドの3作目のシングル。冷たく暗く不気味なシンフォニックでプログレッシブなジェントをベースに、デス声やブラストビートや重くノイジーなギターのメタルコアを融合したサウンド。前作までは、宇宙の神秘さや深淵、睡眠障害などのパラノイアな世界観を表現していた。
本作でもDjentcore(ジェントコア)をベースにしたサウンドに変わりはないが、さらにデスコア度がパワーアップしている。寂寥感に満ちた中東のミステリアスなメロディーから、蹂躙する戦車のようなブラストビート、爆撃機のような破壊力あるノイズギター、怒りと憤りに満ちたデス声の叫び声。まるで地獄の苦しみのような阿鼻叫喚に満ちた世界。
歌詞は「虚無と死に砕け散るこの肉体から私を救いたまえ そして夜々、冷たく血を流し、グロテスクな深淵に沈む」と、宗教的で暗示的な内容だが、戦争の現場の臨場感と個人的に感じた経験について歌っている。
ここでは、けっしてアメリカやイスラエルへの怒りや憎しみは歌っていない。歌っているのは苦悩と曖昧さに満ちたイラン人の個人的な経験。生々しい臨場感で、戦争の恐怖を伝えようとしている。
ジェントコアのダウナーな部分のデスコアのアッパーな要素がうまく絡み合ったハイブリットな作品。適度に漂う中東の匂いが、どこにもない個性で素晴らしい。