Disgrace(ディスグレイス)
『True Enemy (トゥルー・エネミー)』

True EnemyTrue Enemy
Disgrace

Closed Casket Activi 2015-04-12
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現TWITCHING TONGUES(トイッチング・タングス)のタイラー・ヤングがボーカルを務め、Forced Order(フォースド・オーダー)のケイル・トーマスがギターを担当し、カルフォルニア州オレンジカウンティーで結成されたのハードコア・バンドの15年に発表されたデビュー作。正直、ここまでいろいろなバンドを掛け持ちしていると、どれが本命のプロジェクトなのか分からないが、どのバンドも違ったサウンドのハードコアを展開している。

 

このバンドで演奏されているのは、ニュースクール・ハードコアの発展形サウンド。90年代に日本で極悪ハードコアと呼ばれたマローダーやオール・アウト・ウォー、コウルド・アズ・ライフなどのサウンドを進化させた。ジャンル的にはニュースクール・ハードコアをもっとメタルよりに進化させた、デスコアとでも呼ぶべきサウンドだ

 

その進化とは、いろいろなテクニックを盛り込んでいる。地獄のうめきのような声とモーターヘッドのようなバーボンが似合う猥雑でハスキーな歌声を使い分けるボーカル、ニュースクール・ハードコア特有の重く金属質なギターのリフを中心としながらも、ループするギターのリフや、警告音のように鳴る高音ギターなど、いろいろな要素を取り入れているギター、そして終始グルーヴに主眼を置いたスローテンポながらも、ブラストビートから、4ビートまでいろいろなリズムを刻むドラム。緊張感やタイトさ切迫した感情こそないが、テクニックに重点を置くことによって、進化したニュースクール・ハードコアを展開しているのだ。それがこのバンドの個性といえるだろう。

 

ヘビーロック、ハードコアというこだわりを持ちながらも、マストドンの影響が強く邪教崇拝のトイッチング・タング、オールドスクール・ハードコアの影響が強くスピーディーなサウンドのフォースド・オーダー、そしてニュースクール・ハードコアの影響が強くグルーヴィーでテクニックに重点を置いたDisgrace(ディスグレイス)と、3者3様にネクストレベルのハードコアを追求し、異なるサウンドを展開しているのだ。

 

どのバンドも遊び感覚ではなく、微妙に異なる一つのジャンルにこだわりを持って演奏している。だからどのバンドも本命といえるのではないか。またこの作品も、新しい形のニュースクール・ハードコアが提示されていてすばらしい。