アルバムレビュー

Dismissed(ディスミスト)
『2024 Demo』

南フロリダとクリーブランド、ボルチモア出身のメンバーで結成されたハードコア・バンドの1stデモ。Sheer Terror(シアーテラー)やInfest(インフェスト)、Breakdown(ブレイクダウンに)に影響を受けたファスト・ハードコアで、タフガイの不良性と、屈強で豪快な男くささが魅力。

Sheer Terror(シアーテラー)の影響を多大に感じさせるドスの効いたヴォーカルや、ストップ&ゴーやハイスピードからミドルテンポにピッチダウンしていく曲展開はBreakdown(ブレイクダウン)の影響を感じさせる。ノイジーで分厚い音のギターや、男くさいOiからは、ボストンのファストコアと、ニューヨーク・ハードコアのストリートの魅力が融合し、うまみが凝縮されている。

歌詞は「戦場で実際に戦っている部隊」や「切腹」など、戦争や戦いにこだわった部分があるが、臨場感やシリアスはない。ハードコアのオールドスクールな原理主義にこだわったハードコアだ。

DESIST(ディズィスト)
『Demo 2024』

サクラメント出身のパワーバイオレンス・バンドのデビューデモ。MESCALINE MANIACS(メスカリン・マニアックス)、BOLO(ボーロ)、MALANDRO(マランドロ)、S.U.R.G.E.のメンバーが参加している、Spazz(スパッズ)の影響が強いオールドスクールなパワーバイオレンス。

スローテンポから超高速なパートに変わる壮絶な曲、雪崩のようなドラミングパート、ブレイクダウンやスローなパートを交えながら、すべてが1分台のカオティックでファストな曲。ヘヴィーなギターからブレイクを挟み、壮絶なブラストビートへとなだれ込んでいく、ハイスピードで狂ったように目まぐるしく変わっていく壮絶で混沌とした世界観がすごい。

歌詞は「黙れ」から「容赦なし」「日和見主義のクソ野郎」「ニヒリスティックな展望」日々の苛立ちやフラストレーションや怒りを歌っている。

フラストレーションを爆発させる気合の入ったノイジーで激しいサウンドだが、宝物が乱雑に詰められたおもちゃ箱のように、自分たちが好きなフレーズを詰め込み、予想外な展開などがあり、カオティックなワクワクさを感じさせる作品。

Ugoslabier(ユーゴスラビア)
『Hallucination(ハルースネイション) (feat. Tao Sweet Mullet)』

タイのマスコア・バンド10作目のシングル。CONVERGE(コンヴァージ)や DILLINGER ESCAPE PLAN(デリンジャー・エスケープ・プラン)、EVERY TIME I DIE(エヴリタイム・アイ・ダイ)などのバンドに影響を受けたマスコアで、ビートダウン・パートや乾いた冷たい音のギターを交えながら、いろいろなギターフレーズや曲のパートが目まぐるしく変わっていく、カオティックなサウンドを展開。

タイのメタルバンドSWEET MULLETのTaoがフィーチャーされた曲で、歌詞は死者のささやきや、恐怖に満ちた悪夢について歌っている。寝ることへの恐怖など、独特な世界観に満ちた曲で、タイならではのオリジナルティにあふれている。

この曲はEVERY TIME I DIE(エヴリタイム・アイ・ダイ)の進化系の曲で、最後にビートダウンで落とすあたりはかなり独特で最先端のサウンド、クオリティが高い作品。