フロリダ州タンパ出身のメタリック・ハードコア・バンドのデビュー作。All Out War(オール・アウト・ウォー)から、Shai Hulud(シャイハルード)、Turmoil(ターモイル)、Arkangel(アーカーエンジェル)などのバンドから影響を受け進化したサウンドで、フューリエッジからビートダウン、ブラストビート、スクリームなどを、グルーヴィーでメタリックなギターに詰め込んだ、時代の最先端を行くハイブリッドなハードコア。
神経質なギターから、精神病棟の患者のような叫び、強打のような重いギター・サウンドからは、奇異な芸術のような孤高の美しさと破壊的な憎悪の病んだ精神世界を感じる。歌詞は、王国、天国、寺院、イナゴ、楽園、地獄などの黙示録のような言葉を用いて、世界の終わりを表現している。
フュリーエッジのギターとグルーヴィーなハードコアのぶつかり合いからは、どこにもないオリジナリティがある。まさに新世代のハードコアと呼べる素晴らしい作品。
アルバムレビュー
Contention(コンテンション)
Burning Lord (バーニング・ロード)
『Arcane Demolition(アーケイン・デモリションマン)』
ボストン出身のクロスオーバー・リバイバル・バンドの1stアルバム。1989年にニューヨークで勃興していたNew Breed(ニューブリード)と呼ばれるハードコア・シーンのShow of Force(ショウ・オブ・フォース)やDmize(ドマイズ)といったバンドに影響を受け、活動を始めた。
初期SLAYER(スレイヤー)やPOWER TRIP(パワートリップ)のスピーディーでヘヴィーなサウンドに、Cro-Mags(クロマグス)のグルーヴィーでスローテンポのハードコアを融合したサウンド。80年代のクロスオーバーなサウンドだが、ギターの音の壁が重くローファイで、パンクとメタルの両方の要素を取り入れながらも、どちらのジャンルにも属さない独特なサウンドスタイルがある。
歌詞は「スカラベの壁を超えて」「ワールドカップ」「人食い人種」など、古代エジプトの神聖な昆虫から、原住民など、一貫性のないカルト的な内容を歌っている。
80年代的なノスタルジックが漂いながらも、ローカル進化を遂げた、どこにもない独特なサウンド。荒々しくも適度に肩の力が抜けたローファイさがすばらしい。
BERTHOLD CITY(ベルトホールド・シティ)
『Where Did We Go Wrong?(ホエア・ディドゥ・ウィー・ロング?)』
ロスアンゼルス出身で、Strife(ストライフ)のメンバーでもあるAndrew Kline (アンドリュー・クライン)によって結成されたストレートエッジ・バンドの3作目。
Strife(ストライフ)のサイド・プロジェクトととして始まったバンドで、Chain of Strength(チェイン・オブ・ストレングス)からStrife(ストライフ)への西海岸ストレートエッジの伝統を受け継ぐユースクルー。
闘争心むき出しのユースクルー・ハードコアで、Oiの要素が強く屈強なサウンドを展開している。すべてが熱くシンプルでエネルギッシュな衝動に満ちあふれている。
歌詞は「逆境に抗って」や「命のために戦う」、「今こそ立ち上がれ、自由になり、正義への道を照らすのだ。」など、勇気を振り絞って立ち向かっていく熱い内容から、「世界はバラバラ なぜ僕らは平和に暮らせないのか?」などの2極化したアメリカの現状を憂いている内容など、政治的な内容から人生讃歌まで幅広く歌っている。
けっして目新しいサウンドではないが、西海岸のストレートエッジらしい、熱い衝動に満ちあふれている。