アルバムレビュー

AMMO(アモ)
『Web Of Lies / Death Won’t Even Satisfy (ウェブ・オブ・ライブ/デス・ウォント・イヴン・サテスファイ)』

ニュージャージ出身のアナーコパンク・バンドのデビュー作。ニューヨークのNAUSEA(ナウジア)にも通じる憎悪に満ちたアナーコパンクを信条としたバンド。

前2作のデモは、Discharge(ディスチャージ)系のハードコアを展開していたが、今作では前作よりもさらに過激に進化している。ここで展開されているサウンドは、ノイジーで激しいハードコア。怒りと憎悪に満ちたノイズコアをベースに、すべてにノイズ・エフェクトがかかったサウンドで、狂ったようなスピーディーでファストな展開。

嘔吐を吐き出すような呪詛のボーカル、ノイズまみれで不快なギター、狂ったような激しいスピード、まるでこの世の汚物を集めたようなノコズコアなサウンド。

歌われている内容は、ナチスのような選民思想や大量虐殺への怒りや憎しみ。作品全体から、怒りや憎悪や憎しみなどの感情が、原爆のキノコ雲のように爆発している。

ポリティカルで左翼的な怒りを持ったハードコア。アメリカでは珍しいタイプのバンドだが、個人的にはかなり好きなバンドだ。

PULSO(プルソ)
『Enfrentamiento total (エンフレンタミエント・トータル)』

スペインはバルセロナ出身のユースクルー・リバイバル・バンドのデビュー作。

ハードコアとパンクの中間にあるハードコア・パンクと呼べるサウンドで、In My Eyes(イン・マイ・アイズ)やTEN YARD FIGHT(テン・ヤード・ファイト)などのユースクルー・リバイバル・バンドからの影響もうかがえる。パンクのメロディックなフレーズに、ハードコアの疾走感や骨太さを融合した原始的なサウンド。

なによりこのバンドの魅力は、すべてがカタルーニャ語で歌われている部分にある。歌われている内容は、友情や弱い自分との戦いなど、ユースクルーならではの中間層らしい健全な内容でしめられている。

それにしてもスペインのカタルーニャ語の響きは、英語や日本語で歌われるよりも、音楽の興奮と激しさがダイレクトに伝わってくる。熱いサウンドだ。目新しい要素こそないが、ユースクルー思想が、いろいろな国で徐々に影響をあたえていることが感じられる作品だ。

Mindforce(マインドフォース)
『New Lords (ニュー・ローズ)』

ニューヨーク・ハードコア・クロスオーバー・スラッシュ・バンドの2作目。Forced Order(フォースド・オーダー)やPOWER TRIP(パワー・トリップ)、RED DEATH(レッド・デス)などのバンドを中心に、クロスオーバー・リバイバル・ブームが起きているが、Mindforce(マインドフォース)もその中のひとつ。

80年代のころからニューヨークのクロスオーバーは、ほかの地域と比べると独特な混ざり方をしたバンドが多いと言われているが、Mindforce(マインドフォース)も異彩を放っている。Leeway(リーウェイ)のハイトーン気味のボーカルとスラッシュメタルなギターサウンドをベースに、All Out War(オール・アウト・ウォー)のスローテンポのニュースクール・ハードコアなどを融合した。オールドスクールからニュースクールへと変遷したニューヨークハードコアの歴史と伝統をしっかりと受け継いでいるバンドなのだ。

Leeway(リーウェイ)のようにハードコア色の薄いクロスオーバー・スラッシュだった前作と比べると今作ではオリジナルティーを確立している。スピーディーでヒップホップな歌い回しのニューヨーク・オールド・スクール・ハードコアから、Leeway(リーウェイ)、king Diamond(キング・ダイアモンド)、Forbiddenにいたるまでニューヨーク・クロスオーバー・スラッシュのいいところだけを抽出したギターのメロディとリフ。まるで合体怪獣タイラントのように、いい部分だけを結合して、最強となったギターサウンド。いろいろなギターフレーズが目まぐるしく変わりながらも、ハードコアのスピード感や重厚なリフと、重厚なハードコアと軽快なメタルが変な混ざり方をした、いびつなクロスオーバー・スラッシュ。80年代と90年代の新旧のメタルとハードコアがごちゃまぜになったMindforce(マインドフォース)ならではの、新しいスタイルを確立しているのだ。

これはクロスオーバー・リバイバルではなく、クロスオーバーの進化系。新世代ならではのクロスオーバー・スラッシュの新しいスタイルを提示している。80年代のメタルのジャケットとシュールレアリスムが混ざったジャケットも素晴らしい。ハードコアの新しいスタイルを提示してという部分で、この作品も昨年のベスト10に入る素晴らしい作品だ。