BEATDOWN HARDCORE ビートダウン・ハードコアについて

ビートダウンハードコアについて
近年ビートダウン・ハードコアと呼ばれるハードコアがシーンを席巻している。ビートダウン・ハードコアとは、タフガイと呼ばれる屈強な不良たちによるハードコアで、近年ではベルギーからドイツ、フランス、イギリス、日本にいたるまで、世界的な盛り上がりを見せている。ここではビートダウン・ハードコアについて、その歴史からサウンド、アティテュードにいたるまで、順を追って説明したい。

ビートダウン・ハードコアとは、ニューヨーク・ハードコアから細分化したジャンルだ。80年代のニューヨークでクロスオーバー・スラッシュと呼ばれたCro-Mags(クロ・マグス)や、80年代中頃のバンドBreakdown(ブレイクダウン)、90年代の日本でニュースクール・ハードコアと呼ばれメタルとヒップホップな要素を取り入れたMADBALL(マッドボール)などのバンドの要素を合わせ、進化させたサウンドだ。

ビートダウン・ハードコアの創始者は、先日ボーカルのKevoneが逝去したBulldoze(ブルドーズ)。オールドスクール・ハードコアにあった高速スピードをなくし、テンポを落とし、重たくシリアスに発展させサウンドを確立した。怒声をあげる攻撃的なボーカルやドスの効いた声のギャングボーカル、ダウンチューニングされたギター、金属質でハンマーのように重いギターのリフ、静けさと落ち着きに満ちたダウナーで重いブレイクダウンした曲展開。そんなサウンド的な特徴がビートダウン・ハードコアなのだ。速さを追求し、躁病的なテンションの高さと激しさを追求したオールドスクール・ハードコアとは、対極にあるサウンドといえるだろう。

出典:WIKIMEDIA

beat down(ビートダウン)を日本語に訳すと、「殴り倒す、打ち負かす」という意味で、音楽用語では、テンポを落として曲の雰囲気を変える演奏手法のことを言う。その両方の意味を兼ねたのが、Beatdown Hardcore(ビートダウン・ハードコア)だ。多くのビートダウン・ハードコアのバンドたちはワーキング・クラス出身で、アメリカでタフガイと呼ばれる、暴力的なギャングのようなメンタリティーを持っている。

多くのビートダウン・バンドは、スキンヘッドで、タトゥーにベースボールキャップ、バスケットボールのユニフォーム、アーミーパンツといった格好で、筋肉隆々な肉体的な強さを強調し、超男性的なイメージを強調している。またJUDGE(ジャッジ)のように、ストレート・・エッジを心棒するバンドもいる。

歌詞は、団結や誠実さといった個人的な内容から、忍耐や禁欲といったストイックな要素、アンチカルチャーや富を搾取する政治への批判、ヤッピーと呼ばれた都会人富裕層への怒りなど。ワーキングクラスの日常から怒り、社会的な問題がテーマになっている。

ビートダウン・ハードコアは、女性を排除した絶対的な男性主義な思想なため、ファミニストや中性的なパンクから、排他的なシーンだという批判の声もあった。カルフォルニアのメタルコア・バンド、Eighteen Vision(エイティーン・ヴィジョンズ)は、アイライナーや染めた髪、スキニージーンズといった女々しいファッションで、ビートダウン・ハードコアのバンドたちに対抗した。逆にビートダウン・ハードコアのバンドたちに、中身のない軽薄な「ファッション・コア」と、罵られたというエピソードは有名だ。