Identity | Crisis Thrice Sub City Records 2001-03-06 |
01年に発売されたデビュー作。スクリーモの先駆者のひとつとして世間から認識されている彼らだが、じつはスクリーモではない。簡潔に言ってしまえば、メタルとハードコアの折衷スタイルである。そういったスタイルのバンドのことを俗にメタルコアと呼ぶが、スライスの場合、あくまでもハードコアからの影響が強い。息苦しいほど切迫した勢いの2ビートのドラムや、けたたましく吼えるボーカルからは、マイナースレットやシック・オブ・イット・オールなどの、精神面でのハードコアからの影響をふんだんに感じ取ることが出来る。そこに合わさる重くザクザク刻むリフや、テクニカルなギターは、メタル。この時点ではまだギターのテクニックが稚拙でメタルを消化し切れておらず、ハードコア色が強い。だがそこには戸惑い逡巡といった心の弱さはまったくない。周りの人をなぎ倒しながら前へ進んでいく荒々しい暴力性と勢いに満ちている。ストイックだ。
次作でメタルとハードコアの調和が取れ、彼ら独自のスタイルを確立していくわけだが、個人的にはこの精神的な重さがすごく好きだ。