ジ・アルケミー・インデックス VOLS.I&II スライス SPACE SHOWER MUSIC 2007-12-04 |
古代のギリシア哲学、地、水、風、火の4代元素をテーマにしたコンセプトアルバム第一弾。6作目は、水の章と火の章からなる2枚組み。彼らのなかにある水と火のイメージを、ギターメロディーやリフ、スクリーモヴォイス、効果音にのせ、曲に書いたそうだ。“火の章”では、前作『ヴィーズー』で確立したサウンド路線を、さらに研磨し、深化を追及している。戦争の爆撃や破壊で発生する地獄の業火がコンセプト。燃え上がる激しい爆音ギターのリフと、こみ上げる怒りややるせなさをスクリーモヴォイスにのせている。警告音のようなメロディーや、ざらついたノイズのピアノの音が、戦争という理不尽な暴力によって破壊された荒れ果てた荒野を想起させる。怒りや悲しみに満ちた作品だ。
たいする“水の章”では、深遠で漆黒な大海原がコンセプト。穏やかで暗いトーンのキーボードを中心に、リヴァーヴの利いたボーカルが子守唄のように安らぎに満ちた歌声で歌う展開。広大な海を前に、恐竜時代の繁栄の思い出や、戦争に明け暮れる人間のちっぽけさを歌っている。終始たゆたうようなバラード曲で、そこにはポストロック的やアンビエントからの影響も伺える。極力無駄な音を排除し、音の空間から海をイメージさせるサウンドつくりが展開されている。いままでのスライスにはなかったタイプの曲たちだ。火ではサウンドを進化させ、水では異なるアプローチを展開。そういった意味では、新境地を開いている。