156/Silence(156/サイレンス)
『Undercover Scumbag(アンダーカバー・スカムバック)』

ペンシルベニアはピッツバーグ出身のデビュー作。このバンドも新世代のポスト・カオティック・ハードコアなサウンドを展開するバンドひとつ。

 

ハードコアをノイジーなギターに暗黒ドローンに進化さたCODE ORANGE(コード・オレンジ)、強く激しいサウンドの後に不気味なストナーな酩酊感が襲うJesus Piece (ジーザス・ピース)、プログラミングエラーのような高速打ち込みドラムを加えたVein(ヴェイン)と比べると、それほど目立った個性はない。

 

このバンドの特徴はニュースクール系のスローテンポな野太いノイズギターを中心に、トリッキーで七色のように変化する技巧的なギターと、嘆き叫び系のボーカルが絡み合うサウンドだ。

 

“Fake It”では神経質でトリッキーなギターが反響し、“Saving, Saved”では、高まる絶望と嘆きの叫びをギターのメロディーがさらに暗く絶望的な気分にさせる。“Wasted Potential”では警告音のようなギターがなり響き、“Face Value”は絶望の底で静かにたゆたうメロディーが印象的。いろいろな方向性を表現できるテクニカルなギターが、このバンドの魅力なのだ。

 

絶望と嘆き憤りなど感情が支配しダウナー系のバンドだが、曲々に光輝くセンスを感じさせる部分がある。まだEPだが、大きく飛躍する可能性を秘めているバンドなのだ。