ここからは『H8000 Documentary — Anger & Distortion; 1989 – 1999』を中心に、H8000シーンのバンドについて説明したい。
Congress(コングレス)
![]()
出典:Red Bull
Congress(コングレス)からH8000シーンは始まったといわれるほど、イノベーター的存在。Earth Crisis(アース・クライシス)やHelmet(ヘルメット)からの進化したミドルテンポのメタリック・ハードコア。のメンバーはヴィーガン・ストレート・エッジ。初期ころはミドルテンポのメタリック・ハードコアだったが、1995年発表の『Blackened Persistance(ブラックエンド・パーシステンス)』で、ブラックメタルやメロディックデスメタルのメロディーとAll Out War(オール・アウト・ウォー)系の重厚感あふれるスピーディーなハードコアを合わせ、アメリカや他のヨーロッパ諸国にはない、独特なサウンドを創った。H8000シーンの頂点と呼ばれる作品。
Liar(ライヤー)
![]()
出典:The Metal Archives
Liar(ライヤー)は、ヴィーガン・ストレート・エッジにして、メタルコアなサウンドを天展開。とくに1998年発表の2nd『Invictus(インヴィクタス)』では、スラッシュメタルとテクニカル・デスメタルに影響をうけたリフを、Hatebreed(ヘイトブリード)形のメタルコアに融合し、あとにフリーエッジと呼ばれる独特なギターサウンドを確立した。初期H8000シーンのレジェンド的存在。
Nation on Fire(ネイションズ・オン・ファイア)
![]()
Nation on Fire(ネイションズ・オン・ファイア)は、H8000シーン以前から活動しているバンドで、先駆者的存在。ベジタリアンでヴィーガン主義などのストレートエッジを掲げ、政治的な内容を歌っている。1991年発表の『Strike the Match』では、ノイジーでスピーディーなユースクルー系ハードコアで、「その旗を降ろせ!」「マスター レースを目指して – お前の顔に拳を突きつける」など、人種差別とナショナリズムを批判し、神なし、預言者なし、利益なし、指導者なし、主人なし、嘘の本なし」と金儲けに徹した宗教を否定している。そのほかにも欧州連合内のグローバル企業の批判や動物の権利なども歌っている。怒りに満ち、一貫した信念を貫いている。
Rise Above(ライズ・アヴァーヴ)
![]()
出典:Facebook
Rise Above(ライズ・アヴァーヴ)は1989年に結成されたベルギー最初のストレート・エッジバンド。H8000シーンのルーツといわれているバンドで、オールドスクール・ハードコアのメタルエッジなギターサウンドが持ち味。DYSなどのボストン・ハードコアからの影響が強いストレートエッジ・バンドなのだ。
Spirit of Youth(スピリット・オブ・ユース)
![]()
出典:Vort’n Vis in the 90s
Spirit of Youth(スピリット・オブ・ユース)は、H8000シーンの初期から活動しているバンドのひとつ。1998年発表の2作目『Colors That Bleed(カラーズ・ザット・ブリード)』は、Earth Crisis(アース・クライシス)系のミドルテンポのメタリック・ハードコアをベースに、メロディック・デスメタルやエモーショナル・ハードコアのメロディーなどを、巧みにフューリーエッジのリフを組み合わせ、独自に進化した。「絶望」や「堕天使」などの歌詞が特徴で、奇異な美意識と退廃的で妖艶でデスメタリックな死臭が漂うサウンド。
Blindfold(ブラインドフォールド)
![]()
出典:Vort’n Vis in the 90s
Blindfold(ブラインドフォールド)は、エモーショナル・ハードコア・バンド。1996年発表の2作目『Asteroid 164*』では、エッジメタルからエモーショナル・ハードコア、ポストパンクに、オールドスクールなヘヴィーメタルがマーブル模様のように溶け合った奇異なサウンドを展開。シンガロングするヴォーカルと、ダウナーな感情と甘美な苦痛を紡ぐようなサイケデリックで呪術的な世界観。個人的にはH8000シーンの最高傑作といえるほと好きな作品。
Shortsight(ショートサイト)
![]()
出典:Vort’n Vis in the 90s
Shortsight(ショートサイト)は、Liar(ライヤー)のヴォーカルHans Verbeke(ハンス・ヴァーベク)の妹、Saskia Verbeke(サスキア・ヴァーベク)を中心に、REGRESSIONの元メンバーと結成したストレートエッジ・ハードコア・バンド。1996年発表の1stアルバム『Cold Wounds Waking(コールド・ワンダーズ・ウォーキング)』では、Embrace(エンブレイス)系のエモーショナル・ハードコアと、Split Lip(スピリット・リップ)、Worlds Collide(ワールドズ・コライド)、後期 Cro-Mags(クロマグス)をブレンドした独特なハードコア・スタイルで、フューリーエッジのメロディックなメタルとハードコアを混ぜた独自のサウンドを展開。グランジ・バンドHole(ホール)を彷彿とさせるような、デリケートでヒステリックな荒々しくも攻撃的なヴォーカルが、「発作」「冷たい傷が目覚める」「叫ぶ木々」「父親」など、な内容の歌詞で、愛憎入り混じった複雑な心情を吐露していく。H8000シーンのなかでもフューリーエッジが抜群に際立っている。
Sektor(セクター)
![]()
出典:Vort’n Vis in the 90s
Sektor(セクター)は、ミドルテンポのメタリック・ハードコアに、デスメタルのギターやブラストビートなどを融合したヴィーガン・ストレートエッジ・メタルコア。とくにデビュー作である1996年発表のEP『Ultimate Threat』では、オールド・メタルの暗いメロディーが、絶叫ヴォーカルと、ミドルテンポの激しいハードコアと相克していくスタイルで、邪念や妄想を振り払うようなテンションがすごい。
Regression(リグレッション)
![]()
出典:Vort’n Vis in the 90s
Regression(リグレッション)は、ミドルテンポのニューヨークのニュースクール系ハードコアで、プレス機のような重く圧力あるサウンドに、火花が散るように光るフューリーエッジのギターメロディーが印象的なサウンドで、欺瞞や意見を押し付ける相手やの否定などを歌い、自分を貫く姿勢を見せている。とくに1995年に発表された最初の作品である『Demo』が評価が高い。