New York Hardcoreニューヨークハードコア・シーンについて (1990-1999)PART-2 クイーンズ・ハードコア

Castle Heights(キャッスル・ハイツ)が生んだ音楽的特徴──すなわちクイーンズ・ビートダウンの原型は、極端に重いブレイクダウン、ストリートの怒りをそのまま音にしたようなリフ、そして低音を中心に引きずるようなグルーヴに集約される。時系列で整理すると、まず Cold Front(コールド・フロント)が始まりを作り、Fit of Anger(フィット・オブ・アンガー)によって暴力性が増幅され、Confusion(コンフュージョン)によってメタル要素が導入された。続いて Denied(ディナイド)がビートダウンの原型を形づくり、Irate(アイレイト)がそれをクイーンズ独特のスタイルとして完成させた。
こうして Castle Heights(キャッスル・ハイツ)のバンドが発展させたメタル寄りのニューヨーク・ハードコアは、ブルックリンの Madball 系とは異なる、よりメタリックで暴力性の強いサウンドを持つようになった。この流れは 2000 年代に入り、Sworn Enemy(スウォーン・エネミー)によって全国区へと引き継がれていく。

2000年代初頭になると、Castle Heights(キャッスル・ハイツ)は閉店する。近隣住民からの苦情、治安の悪化、店舗の老朽化、そしてシーン自体の変化など、複数の要因が重なった結果だと言われている。もはや当時の Castle Heights(キャッスル・ハイツ)は、時代の流れに適合できなくなっていた。
しかし、その精神は Sworn Enemy(スウォーン・エネミー)、Everybody Gets Hurt(エブリバディ・ゲッツ・ハート)などのバンドに受け継がれ、クイーンズ・ハードコアは“リアルなニューヨーク・ハードコア”として現在も語り継がれている。



Castle Heights(キャッスル・ハイツ)は“クイーンズの魂”と呼ばれたライヴハウスであり、クイーンズ・コミュニティのテリトリーとして機能していた。外から来た者には常に緊張が走る独特の空気があり、荒々しく危険で、地元の人間による筋と義理と地元愛が支配する世界だった。こうした強烈なローカル意識は、CBGBやロウワー・イースト・サイドやブルックリンにはない独自のアート性やファッションセンスを生み出し、クイーンズならではのオリジナルなハードコアや、ビートダウン・ハードコア・バンドたちを育てる土壌となった。