Scowl(スカウル) – Are We All Angels(アー・ウィ・オール・エンジェルス) (2025)
カリフォルニア州サンタクルーズ出身のハードコア・バンドによるデビュー作。初期はGBHのようなシンプルなハードコアを展開していたが、個性を確立した『Psychic Dance Routine(サイキック・ダンス・ルーティーン)』では、Siouxsie And The Banshees(スージー・アンド・ザ・バンシーズ)を思わせるサイケデリックな要素を、激しくヘヴィなハードコアと融合させ、独自の進化を遂げた。
そして今作では、『Psychic Dance Routine(サイキック・ダンス・ルーティーン)』で確立したサイケデリック路線から一歩離れ、ダークネスを帯びたメロディック・パンクへと舵を切った。
サウンド自体はシンプルなメロディック・パンクだが、Kat Moss(カート・モス)のヴォーカルが作品全体を独特の世界観へと引き込み、圧倒的なカリスマ性を放っている。艶やかなクリーンボイスとヒステリックなスクリームを自在に行き来する歌声には、ダークで切ない陰影と、どこか温かいぬくもりが同居している。
歌詞は、悲しみや疎外、虐待、人間関係、自己認識、さらには政府と資本主義の支配構造による抑圧といったテーマを扱う。Kat Moss(カート・モス)の声は、悲しみと怒り、脆さと強さ、寂しさと憤りといった複雑な感情を重層的に表現している。
サウンド面での目新しさは控えめだが、Kat Mossのカリスマティックなヴォーカルが、新世代を象徴するメロディック・パンクと呼ぶにふさわしい、ダークで艶やかな個性を作品に与えている。方向性こそ異なるものの、個人的にはHole(ホール)の『Pretty on the Inside(プリティ・オン・ジ・インサイド)』やNo Doubt(ノー・ダウト)の『Tragic Kingdomトラジック・キングダム)』に匹敵する才能を感じさせる作品だ。