Utility(ユーティリティー) 『Demo(デモ)』 (2024)
フロリダ州タンパ出身のユースクルー・ハードコア・バンドのデビューデモ。コネチカット州のユースクルー・バンド、Wreckage(レッケージ)の Matt(マット)が中心のバンドで、ここでもユースクルー系のハードコアをベースにエネルギッシュなサウンドを展開している。
ユースクルー・リバイバルのWreckage(レッケージ)とは違い、Utility(ユーティリティー)では、さらにギターの音が分厚くなった迫力あるハードコアに深化している。分厚い音のギターから、雪崩のような勢いのドラム、苦悶に満ちた怒声を吐き捨てるヴォーカル、怒りと焦燥感が怒涛な勢いで迫ってくるサウンド。
歌詞は「信じられるものが何もないなんて信じられない、この偽りの世界で、絶え間ない変化に丸ごと飲み込まれていく」と歌った「Constant Change(絶え間ない変化)」から、「信じられるものが必要なんだ、心の平安を求めて、別の方法を探そうとしたけど、どういうわけか結局全部同じになってしまう」と歌った「No One To Blame(誰も責められない)」、「二度目のチャンスは指先からこぼれ落ち、ここに閉じ込められている」と歌った「Face to Face(対面)」など、悩みや葛藤、挫折や絶望を味わった苦しい経験を歌っている。
ここにはユースクルーの健全さやポジティビティはなく、人生のダークサイドにスポットを当てている。とはいっても怒りや憎しみなどの人を恨むような罵詈雑言はない。過酷な現実という悩みや挫折に苦しんでいる弱い自分と向き合い、自分自身に勝つため欠点を克服し、奮い立たせるような熱気がここにはある。
まさに弱い自分と闘うストイックなハードコア。ユースクルー思想をさらに突き詰めたバンドなのだ。