バッド・バイブレーション ア・デイ・トゥ・リメンバー ワーナーミュージック・ジャパン 2016-09-01 |
16年発表の6作目。彼らについて散々書いてきた。くどいようだがもう一度説明しておく。彼らの個性とは、メタルコアのポップ・パンク化にある。05年当時、メタルコアをポップ化するというアイデアのバンドは、誰もいなかった。激しくヘヴィーで不快なデスメタルに、感情のひだを震わせるメロディックな要素を加えることによって、スカッと爽快に、憎悪から発散に変化させ、彼らならではの個性を確立することに成功した。それが『ホームシック』いうアルバムが50万枚売れた理由なのだ。
6作目となる今作だが、カラッと明るいサウンドだった前作と比べると、ダークで内省的な仕上がっている。エモっぽい曲など、新しいことにチャレンジしている曲もあるが、総じていうなら前々作、『ホームシック』の世界観を、さらに掘り下げた作品といえるだろう。彼らの作品のテーマの一つといえる疎外感や内省、心の闇を描いたアルバムジャケットも復活している。
アメリカでは『ホームシック』以来の快作と評価されている。その理由は暗く陰りのあるメロディーが復活したらだ。その憂いと切なさを含んだロディーからは、湖畔で黄昏ているような美しさがある。そしてメタルコアナンバーのデス声ボーカルからは、内面の憤りの叫びのように感じる。すべてが外向けの発散ではなく、シリアスで内向きなのだ。まるで人間の陰の部分にスポットを当てているかのようだ。ひさびさに彼ららしさが戻ってきた作品だ。