Cities Anberlin Tooth & Nail Records 2007-02-19 |
07年発売の3作目。前作のリヴァーヴのかかった透明で繊細な声のボーカルに、ヘヴィーなリフと氷の冷たいメロディーが絡む展開に変わりはない。基本路線こそ変わらないが、前作以上にボーカルとメロディーはデフォルメされ、素朴なアコースティックの曲や、聖歌隊のコーラスなどを導入し、微妙な変化がある。とくに一連の物語のように、曲の展開がくるくると変わっていく”FIN”は圧巻だ。神秘的で美しかった前作と比べると、全体的に喪失感を埋めるような切なさが支配している。それもそのはず、今作では人前で演じている自分と本当の気持ちとの狭間で葛藤している姿や、傷心に向き合った自分、孤独など、内省的な内容が多い。敬虔なクリスチャンならではの過酷な経験を人生の試練と捉えている姿勢がある。前作のような至福感に満ちた曲はないが、寂寥感に満ちた今作も最高だ。