DON’T TURN AWAY/RE-ISS FACE TO FACE FATWR 2016-12-15 |
94年に発表されたデビュー作。当時アメリカでは、グリーン・ディとオフスプリングのブレイクによって、メロコアと呼ばれる新しいシーンが生まれた。アンダーグランドミュージックだったパンクが、メインストリームへと台頭し、盛り上がりを見せていた。
そのムーブに乗って現れたバンドがフェイス・トゥ・フェイスなのだ。そのサウンドは、高速8ビートのドラムと3コードのギターが特徴のメロディックハードコア。バッド・レリジョンのフォロアーと捉われがちだが、彼らからの影響はない。どちらかといえば、ラモーンズを速くしたようなサウンドだ。
彼らの代名詞となる切ないメロディーと、疾走していくようなスピード感は、まだこの時点では確立されていない。だがこの作品には、3コードでグイグイ押していく男くささと気合いに満ちた迫力がある。メロディーこそ希薄だが、西海岸のバンド特有の、どことなく楽観的な明るさがある。それが魅力だ。
当時のぼくは、切ないメロディーがないこの作品があまり好きではなかった。だが、いまあらためて聴きなおしてみると、逆にメロディーがないところに魅力を感じる。情緒的なメロディーがない分、迫力があるし、男くさい。悲観的な一面がまったくなく、多彩なコーラスがすばらしい。彼らの自然体な姿勢が出ている。
ライヴでは必ず、”ディスコネクテッド”を歌っている。彼らにとって、思い入れの強い作品なのだろう。