スモーコ・アット・ザ・ペット・フード・ファクトリー フレンザル・ロム CR JAPAN 2011-10-05 |
11年発表の11作目。このバンドも息が長い。メロディックパンクをやり続けてはや17年。相変わらずコンスタントにモチベーションの高い作品を発表し続けている。そのサウンドは、スカからメロディックパンク、メロディック・ハードコアと幅が広い。そして前作では、KID・DYNAMITEやLIFETIMEに影響を受けたメロディック・ハードコアで、パワフルで弾丸のような勢い見せつけた。ハードコアとメロディックな曲が交互に演奏する展開で、早口で捲くし立てるメロディックなボーカルの個性が光った。パンク、メロディックハードコアという制約のなかでバラエティーが多彩。激しいギターコードに、メロディックなフレーズが絡むサウンドは、とことんキャッチーで、親しみやすかった。
そんな彼らの魅力とは、医学書や量子物理学などの学術的な教養をねじ曲げ、バカにしているアイロニーにある。医学書の人体の絵を馬に代えるパロディーセンスが最高だし、痛快で面白い。笑える。
そして8作目となる今作では、明るさからヘヴィーな重さに変わり、デスの要素が加わった。ほかにも西海岸のカラッとしたメロディックパンクな曲もあり、過去とは違った作品に仕上がっている。ここに歌詞カードがないので正確な事実は分からないが、ものすごく変化した印象を受ける。悪ふざけがすぎた前作と比べると、まじめでシリアス。大人の枯れた円熟味を聴かせ、やんちゃな要素は薄れた。
持ち前の悪ふざけこそなくなったが、これは、いい作品。性急で間段のないスピード、カラッと乾いたメロディーは、心地よいし、癒される。なにより明るさのなかにある暗い陰りが最高だ。