フェイスブック上で発表された2枚目のEP。どうやら最近のクリス・ギャラハーは、ダッシュボード・コンフェショナルを再活動する気はないようだ。ここ2年、ツイン・フォークスの活動に熱心に力を入れている。
おそらくそれほどこのバンドに手応えを感じているのだろうし、まだやり残したこともあるのだろう。ここで発表されたEPは、フェイスブックにあるツインフォークのファンページにて、無料ダウンロードすることができる。その内容だが、全4曲で、“バック・トゥ・ユー”と“キス・ミー・ダーリング”は、デビュー作『ツイン・フォークス』に収録されていた曲。“グッド・アンド・スロー”と“ミーン”は、新曲。“グッド・アンド・スロー”は、物思いにふけるような切ないバラードで、曲の展開によってトラディッショナル・フォークやカントリーなどのギターフレーズが入れ替わっていく。“ミーン”は現在、24歳の女性カントリーシンガー、テイラー・スウィフトのカヴァー。アメリカン・スウィート・ハートと呼ばれる彼女のカヴァーらしく、いかに相手を傷つけないかを思いやりながらも、好きという気持ちを抑えきれないという、複雑な感情を歌っている。サウンドもウクレレなどの新しい楽器を取り入れている。
クリス・ギャラハーがツイン・フォークでそのやり残したこととは、アメリカのトラディッショナルなフォークやカントリーを、現代のサウンドにアレンジすることなのではないか。デビュー作では、カントリーやフォークをシンプルで素朴に演奏していたが、この2曲ではいろいろなフレーズを組み合わせ、隙間なく音が詰め込まれている。完璧主義者の彼の性格が如実に反映されているのだ。
それにしてもクリス・ギャラハーのアメリカ・ルーツ音楽に追求した活動は、自身の音楽性の幅を広げただけでなく、感情の表現も多彩になった。意外といまが彼の円熟期ではないか?そんなことを感じさせる作品だ。