Document #8 [Analog] Pg.99 Robotic Empire 2012-01-15 |
アメリカはバージニア州出身のスクリーモ・バンドの01年に発表された2作目となるアルバム。メンバーはボーカルが2人、ギターが3人、ベースが2人、ドラムが1人の計8人からなる大所帯で、彼らの作品は、スピリット、シングル、EP、アルバム、すべての音源がDocument No.○○という形で発表されている。そのうちNo.8はアルバムで9曲が収録されている。
彼らはエモがスクリーモに進化する過程に活動していたバンドで、スクリーモがメタルの亜種となる前の、ハードコアの残り香が残ったスクリーモ・バンドとしてジャンル分けされていた。アメリカではリアル・スクリーモのレジェントとして語られてきたバンドの一つだ。
スクリーモのレジェントとして語られている彼らだが、ここで展開されているサウンドは、スクリーモというよりカオティック・ハードコア。その証拠にリミキシングにコンヴァージのカートが担当している。躁病的なけたたましい叫び声のボーカルや狂ったような勢いで叩くドラム、洪水のような激しさのノイズギターからは、まさしくコンヴァージからの影響を色濃く感じる。だがコンヴァージとの明らかな違いは、メロディーと静のパートを導入している部分にある。そのメロディーだが、深い沈黙の先で不気味に鳴り響いているようなメロディーがループし、まるで高速回転する万華鏡を除いているのような、カオティックな気分に陥る。静の部分はほかのエモバンドとは違い、いじけたようなナイーブなメロディーではない。そこにあるのは中毒患者が夢見るような不気味にキラキラと光る妖しげで幻想的な世界だ。静を妖しく妖艶に変化させ、動をエモよりさらに激しくカオティックにデフォルメさせたサウンドなのだ。いまカオティック・ハードコアとは、突発的な発生したジャンルとして語られているが、元来はエモから進化したサウンドなのだ。この作品はエモからカオティック・ハードコアの進化の過程で現れた作品なのだ。