レッド・レター・デイ ゲット・アップ・キッズ HOWLING BULL Entertainmen 2000-05-03 |
98年発表されたEP、『レッド・レター・ディ』と、96年に発表された7EP、『オール・スターズ』を加えた作品。前者はキーボードのジェイムスが加わり、ポップにメロディックパンクへシフトした作品で、彼らが飛躍するきっかけになった。たいする後者は、エンブレイス系のエモで、荒々しいギターサウンドの曲が並ぶ作品。そのサウンドは大人や親は自分を理解してくれない気持ちを歌い、暗く激しく内省的。
あらためてこの両作を比べてみると、――あいだにフルアルバムを挟んでいるといはいえ――作風が違う。サウンド形態でいえば、エモーショナル・ハードコアから出発し、メロディック・パンクやアメリカ中部の野太いギターコードなどを取り入れ、ポップに変化してきた。だが、苛立ちややるせない気持ちを叫んだエモーショナルな初期衝動は失われていない。極端な変化をたどったこの作品を聴くと、ゲット・アップ・キッズというバンドは、青臭い初期衝動が魅力で、その年代の心情が、リアルにサウンドに反映されていることが理解できる。歳を取るとともに、疑問にケリをつけ、現状に立ち止まることなく、成長し進化し続けていくバンドなのだ。なお、このアルバムに収録されている曲、“レッド・レター・ディ”は、つぎのアルバムで再録されている。