フォーエヴァー・アンド・カウンティング ホット・ウォーター・ミュージック・バンド バンダイ・ミュージックエンタテインメント 1999-06-05 |
97年に発表された3作目。フガジに影響を受けたエモーショナル・ハードコアというサウンドフォーマットや、武骨な男臭さは変わらない。だが前作よりも、アレンジは複雑になり、メロディーを重視した作品に仕上がった。たとえば“トランスロケーション”では、扇情的なメロディーと繊細なメロディーを組み合わせ、“スリー・サマー・ストロング”では、アラブのようなメロディーを取り入れている。また“マン・ザ・チェンジ”では警告音のような独特なメロディーを展開。前作よりも、アレンジが練られているのが理解できる。彼らなりに欠点を見つけ、ブラッシュアップしているのだ。彼らはサウンドを極めるため、欠点を受け入れ修正し、自己鍛錬しているバンドなのだ。
今作では前作の内面世界から抜け出し、外へ向かっている。歌詞のテーマは正義と忍耐。たとえば“ベター・シンス”では、<塞いだ心の中に真実を受け入れることで、考えに変化が現れる/弱点や困惑の中でけっして危機が去ることはない>と歌い、“ポジション”では<時には沈むこともあるけど、戦士のように固い意志とともに勇者のように立ち上がる/みんなと同じように成長したいと思う>と歌っている。また“ウエスタン・グレイス”では、<俺たちを受け入れたくれた人に感謝する、面倒を見て、励まして、希望をあたえてくれた/俺たちは一人じゃないと確信させてくれた。いままでのことは断ち切って、再び進んでいこう/これはレッスン、だから険しい道も進む>と歌っている。
そこでは、いままで自分は弱者で、心を閉ざしていたことを素直に認めている。そんな自分を受け入れ、外の世界へ心を開こうとしているが、困難にぶつかっている。でも自分が正しいと信じる道を進むには、苦難を受け入れ、忍耐が必要だと、締めくくっている。困難を経験することで乗り越え、対処方を覚える。そして自分が成長する。彼らにとって正義と忍耐とは、塞ぎこみ内面的な考えで結論付けることが悪で、苦痛に耐えながら、自分が信じる正しい道を突き進むのが正義だと、ここでは言っている。そんな内容を、哲学的な語り口で歌っているのだ。
全体的にメロディーに重点を置きすぎて、やや迫力に欠けた部分もあるが、リリック面も含め、前作よりも確実に成長している。そう彼らの魅力は、困難にぶつかっていくアグレッシヴさと、ものごとを極めるようなストイックさがあるのだ。その姿勢が男くさくて、カッコいい。