Human Hearts Maritime Dangerbird 2011-04-04 |
11年発表の4作目。前作からじつに4年ぶりとなる。これだけ歳月がかかった理由は、おそらく音楽への情熱がうせていたからだろう。やりたいサウンドのインスピレーションが湧かなかったせいなのかもしれない。だからなのか、前作までの明るさは消え、目の前にふさがる霧のようにふかい悩みや内省のように暗くなった。
今作ではブリット・ポップやメロディック・パンクを中心に、ギャング・オブ・フォーのカッテング・ギターや、透明なメロディーなどの要素を加えている。感触としてはプロミス・リング時代の4作目に似ている。だが決定的に違うのは、ボーカルの歌い方。そのオアシスやヴァーヴのような、ビブラートを使い、伸びのある高音を重視したアダルティックな歌声だ。そこには、いままでのチープでなまみの感情が伝わってくるような素朴な温かさはない。叙情的でクールな感情だけを切り取った世界観がある。
個人的には彼らの素朴さやくよくよ悩んでいないで、とりあえず行動しようよ、といった姿勢が好きだった。だが新しいサウンドにチャレンジをし、同じ方向の感情を表現しないという意味では、評価できる作品ではないか。