ヴォイシズ マッチブック・ロマンス ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル 2006-02-15 |
劇的に変わった05年発表の2枚目。ここでは冷たいメロディーをさらに強化し、知的な暗い方向に向かっている。いうならスライスの『ヴィズー』をさらに突き詰めた作品といえる。もはやメロディックパンクの面影はない。ハードロックやプログレなどの無機質なメロディーを突き詰めた。独特な世界観をもったサウンドだ。
そのメロディーは、中世の社交場を思わせるような華やかクラシカルな美しさがある。都会的なロマンティズムを、ブルジョア的な豪華さで、さらに深化させた作品といえる。
全体的に華やかで美しいサウンドだ。でもなんだろう。華やかさの奥にある息苦しくも憂鬱でもの悲しい気分は。歌詞も本当の言葉が暗示として表現されていて、真意は隠されているようだ。実際、封入されている白黒のプラスティックシートをアートワークの一部にかざしてみると、隠されている言葉が浮かび上がる仕組みになっている。
おそらく彼らは、華やかに虚飾されたベールよって隠された残虐さや欲情や、プライドによって邪魔され言えなかった本音など、2面性のあるそういった気持ちを、このアルバムで表現したかったのではないか。そういった意味では前作よりも確実に深い作品になっている。なお7年3月を最後に、彼らは無期限の活動休止に入った。個人的にはさらなる深みを追求してほしかった。『ヴォイス』あまりにもいい作品だっただけに、休止するにはあまりにも惜しい。