Demo Compilation Refused Epitaph Import 1997-09-14 |
97年に発売されたデモ・コンピレーション。リフューズドが結成して間もない初期のころのデモを収録した作品。その内訳は、1曲目から8曲目は、92年に初レコーディングされた『ファースト・デモ』と名付けられたEPからで、全曲収録。9曲目から15曲目は、92年にレコーディングされ発売された2作目のEP『セカンド・デモ』から、全曲収録。16曲目から21曲目までは未発表曲で、計21曲が収録されている。
『ファースト・デモ』は、2ビートのスピーディーなハードコアな作品で、スウェーデンハードコアのレジェンドであるモブ47のゴリゴリの2ビート、2コードサウンドや、アグノスティック・フロントばりのギターソロなど、彼らが影響されてきたものを色濃く感じる。バンドを始めたころにありがちな、自分たちのサウンドのベースを固めることに必死で、先駆者の影響から抜けきれておらず、オリジナルティーを確立するにいたっていない作品といえるし、とくに途中で音のボリュームが大きくなるなどマスタリングの状態も悪い。まさにデモをそのまま収録している。
そして『セカンド・デモ』は、演奏技術が前作よりもさらに向上している。とくにギターは音の厚みは増し、ヘヴィーに重く仕上がっている。前作の2コードと3コードのハードコアだけでなく、ユース・オブ・トゥデイのようなザクザク刻むリフや変則的なリズムなどのプラスアルファーな要素を取り入れている。緩やかであるが成長に進化を遂げていることを感じる作品だ。
確かに両デモとも演奏技術的が未熟であることは間違いない。だが、この作品の魅力はリフューズドのツールがスウェーデンの伝統に沿って出てきたということと、ハードコア以外のバンドで影響を受けたのが誰であるかが理解できるという、その2点に尽きるだろう。とくに面白いのがハードコア以外の影響の部分だ。今作では、AC/DCやモトリークルー、ビスティー・ボーイズなどをカヴァーしている。ハードコア・バンドではない彼らをカヴァーした理由は、おそらくただ純粋のそのサウンドが好きだからだろう。AC/DCからはギターフレーズの間の取り方を学び、モトリークルーからは、執拗に繰り返されるカッティングギターなどの演奏技術を取り入れている。そしてビスティーボーイズから、ピップホップというロックとは関係のないジャンルのサウンドを柔軟に取り入れる方法を学んでいる。
社会主義者という思想的や、スウェーデン・ハードコアの伝統という、ハードコアに対する尋常でない誇りと拘り持ちながらも、サウンド的には従来のハードコアに固執をせず、柔軟にいろいろなテクニックを取り入れている。それがリフューズドというバンドの特徴といえるだろう。ハードコアの伝統と革新性が結びついたそのアティチュードが、このバンドが一番評価されなくてはいけない部分なのだ。そこ事実を気付かせてくれる作品だ。