Taking Back Sunday(テイキング・バック・サンディ)

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Taking Back Sunday

Warner Bros / Wea 2011-06-27
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セカンド・ボーカルのファジとマットが脱退し、ストレイライト・ランからジョンとショーンが加入した11年発表の5作目。ストレイライト・ランというとテイキング・バック・サンデーを脱退したメンバーによって結成されたバンド。ということはデビュー作のころのメンバーが復活し、制作されたアルバムだ。いうなら初期衝動だけで突っ走っていた、スクリーモのころに戻ったということだ。

 

アルバムにバンド名を冠したことから、その名前どおり、まさしく原点回帰。ミドルテンポのスクリーモのサウンドフォーマットに、2作目以降のギターテクニックや、コーンなどのヘヴィーロック、東海岸パンクなどの要素を加えた。デビュー作をさらに進化させたサウンドだ。そしてボーカル。前々作ぶりにツインボーカルとスクリームが戻ってきた。掛け合いのタイミングと、アダムのメロディックな歌声とジョンのスクリームの絡みは、まさに初期そのもの。初期の絶叫に近いスクリームだ。まさに原点回帰している。

 

それにしても歌詞のテーマがいつになく重い。2曲目の“Faith”では、キリストが子供を叩くことを想像できる?とか、富への信仰を失う、といった歌詞が目立つ。ここで歌われている内容は、ごく平凡に生きている日常への懐疑。ごく普通の富や信仰を失うことの怖さを歌っている。いままでラブソングが多かった彼らの歌詞なので、今回は意外に感じられた。なぜ、こんなシリアスなテーマが歌われているのか、資料がないのでその理由は分からないが、歌詞がサウンド自体に与えた影響はそんなになさそうだ。

 

この原点回帰したアルバムは、賛否両論分かれる。スクリーモが好きな人からみれば、最高の作品だろうし、スクリーモから離れた3作目以降が好きな人からみれば、物足りなさを感じる。個人的には後者だ。その理由は、前々、前作にあったサウンドの勢いと迫力を感じなかったし、ギターアレンジは豊富だがテンポが同じため、単調に聞こえる。メインボーカルの声の魅力も失われている。だがスクリーモという範疇だけで捉えれば、メタルの影響を受けていないスクリーモ自体、珍しい存在であるから、オリジナルティーはある。現在のメタル化したスクリーモシーンに一石を投じた作品でもあるのだ。彼らの1、2枚目が好きな人には、お勧めだ。