ニューヨークはロングアイランド出身のハードコアバンドの4曲入りのデビューデモ作品。近年ハードコア界では、FORCEDORDER(フォースオーダー)やPOWERTRIP(パワートリップ)などのバンドに代表されるように、スラッシュメタルとオールドスクールなハードコアをクロスオーバーさせたサウンドが、一部トレンドになっている。
彼らもそのシーンの一翼を担うバンドだが、ほかのクロスオーバーバンドとの決定的な違いは、S.O.Bなどの日本のハードコアに色濃い影響と、ロングアイランド特有の雰囲気を保有した部分にある。骨太でメタルのようなメロディーラインのあるギターサウンド。叫びとハイトーンの中間にある咆哮ボーカル。
そのロングアイランド特有の雰囲気とは、“自分に屈する”や“殺すために行く”、“あなたは何も感じない”“魂を取る”など、シンプルな単語で簡潔な歌詞に代表される、パラノイアックな世界のことだろう。偏執的でムンクのような芸術性。それがこのバンドの個性といえるだろう。ちなみにバンド名であるT.O.SとはTaking Of Soul(魂を取る)という意味だ。