MINDFORCE(マインドフォース)
『 Excalibur(エクスカリバー)』

Excalibur

ニューヨーク・ハードコア・バンドのデビュー作。近年Forced Order(フォースド・オーダー)やPOWER TRIP(パワー・トリップ)、RED DEATH(レッド・デス)などのバンドを中心に、スラッシュメタルとオールドスクール・ハードコアとの融合である、クロスオーバー・リバイバル・ブームがハードコア界で起きている。MINDFORCE (マインドフォース)もクロスオーバー・リバイバル・ブームを担うバンドのひとつでスラッシュメタルやハードコアと融合したサウンドを展開している。

 

だがマインドフォースの場合、フォースド・オーダーやパワー・トリップなどのバンドとの決定的な違いがある。それはニューヨーク・ハードコアのみだけで帰結したサウンドを展開している部分だ。ニューヨーク・ハードコアのクロスオーバーの元祖として知られるLeeway(リーウェイ)のハイトーン気味のボーカルとスラッシュメタルなギターサウンドをベースに、All Out War(オール・アウト・ウォー)のスローテンポのニュースクール・ハードコアなどを融合した。スラッシュメタルからパワーメタル、オールドスクールからニュースクールへと変遷したニューヨークハードコアの歴史と伝統をしっかりと受け継いでいる。そこにラガーシャツやパーカー、キャップなどのBANE(ベイン)に代表されるスポーティーなストリート・ファッションを加え、ギャングな要素を排除しシリアスさを薄めカジュアルに進化させたバンドなのだ。

 

だから彼らのサウンドにはニューヨーク・ハードコア特有のコンクリートに覆われた地下通りの冷たい空気がふんだんにちりばめられている。歌詞は現実的な内容が多い。何度も繰り返し起きる悪夢や理想の人が落ちぶれた人生に転落したことについて。幻滅、苦しみ、怒りなどリアルな日常の生々しい言葉が、ハイトーンの苦痛に満ちたボーカルと冷厳なサウンドの雰囲気とともに、心に突き刺さってくる。クロスオーバー・リバイバル・シーンのなかでは違った個性を放っているバンドなのだ。