POWER TRIP(パワートリップ)
『Opening Fire: 2008-2014』

クロスオーバー・リバイバル・バンドとして知られるpower trip(パワー・トリップ)のベスト盤。バンド結成10周年を記念してデジタル音源のみの販売だが、これが新作同様のクオリティーの高い作品に仕上がっている。

 

ここで収録されている内容を説明すると、
1~3は11年リリースの『POWER TRIP(7)』から3曲収録。
4は08年リリースの『DEMO2008』から1曲収録。
5は10年にリリースされたコンピレーションアルバム『AMERICA’S HARDCORE(アメリカズ・ハードコア)』から。
6~9は、09年にリリースされた7インチシングル『ARMAGEDDON BLUES(アルマゲドン・ブルース)』から3曲。
10と11は08年のデモカセットで発売された『They Are All Vultures(ゼイ・アー・オール・ヴォルチャー)』から。
いまでは入手することが出来ないレアな曲が収録されている。長年のプロデューサーArthur Rizkによって再度リマスターされ、未完成だった曲が、現代の経験を経てブラッシュアップされ、新たによみがえった。

 

スラッシュメタルにスピーディーなオールドスクール・ハードコアを合わせた、メタルとハードコアの折衷比率が7対3の、スラッシュ度がかなり高いサウンドに変わりはない。だが2作目の『Nightmare Logic(ナイトメア・ロジック)』と比べると、迫力や勢いよりも演奏やテクニックを重視している。やはり初期のころの曲が多いため、感触は『Manifest Decimation(マニフェスト・デジメーション)』に近い。だがボーカルのテンションの高さは今作のほうが上。ハードコアの怒声や迫力とスラッシュメタルのスピーディーでメロディックなギターと、両者の魅力を最大限に引き出すようブレンドされている。

 

どんなに作品を経てもブレず、変わらずの安定したサウンド。スラッシュメタルの繊細な部分に、タフで武骨で荒々しいノイズのハードコアを合わせたサウンドは、相変わらずストレスを発散するような激しい気持ちにさせてくれる。