AMERICAN NIGHTMARE(アメリカン・ナイトメア)

昨年の3月に出たじつに15年ぶりとなる3作目。ボストンのオールドスクール系ハードコアバンドで、03年にはバンド名をGIVE UP GHOST(ギブ・アップ・ゴースト)変更させられるハプニングもあったが、今回、AMERICAN NIGHTMARE (アメリカン・ナイトメア)名義で発表。

 

サウンド的にはパンクとハードコアの中間を行くハードコア・パンクだが、スピーディーで激しいギターに、全速力を出し切る熱く衝動的なボーカルと、シンガロングの気合の入った展開は、新しいタイプのエモーショナル・ハードコア・バンドでもあった。オールドスクール・ハードコアからLifetime(ライフタイム)やCOMEBACK KID(カムバックキッド)のメロディックでエモーショナルなハードコアに繋がっていく、橋渡し的な位置にいる存在のバンドでもあった。

 

そして15年ぶりとなる今作では、相変わらず勢いと迫力に満ちたサウンドを展開している。だがいままでの作品と比べると、勢いや衝動よりも、新しいことにチャレンジする姿勢が目立つ。とくにメロディックなギターパートが増えた。金属のような硬質なボーカルに火花のようにきれいに飛び散るメロディーや、ドゥームのようなドロドロとした重たく暗い曲などがあり、ハードコアパンクの衝動と勢いを保持しながらも、新しい要素を加えている。

 

おそらく新しいことにチャレンジした理由には、バンド活動を続ける熱意と衝動を取り戻すためではないか。活動を休止した理由のひとつに、伝えたい想いや、演りたいことをやりきったという実感がどこかにあったはずだ。マンネリ化した状態で、活動を続けていくモチベーションを保つことが困難だったのだろう。だから今回新しいことにチャレンジしたのではないか。結果、新しい挑戦が功を奏し、アメリカン・ナイトメアというバンドをワンランク上のバンドに成長させた。再結成で15年ぶりに発表した作品でも、成長できることをあらためて証明した。意欲に満ちたいい作品だ。