REFUSED(リフューズド)
『WAR MUSIC(ウォー・ミュージック)』

4年ぶりとなる5作目。2010年の再結成以降、2作目となる作品で、精力的な活動を続けている。今作では、ハードコア・バンドらしいポリティカルな姿勢を貫き、体制側と戦い続けている。

 

『The Shape of Punk to Come(ザ・シェイプ・オブ・パンク・トゥ・カム)』の延長上にあるサウンドだった前作と比べると、今作ではノイズギターを中心としたシンプルなハードコア・サウンドに変化している。いうなら原点回帰。といっても、もっとハードコアをごり押ししていた2作目とは違い、ダンサンブルなビートやメタルギター、Rage Against the Machine(レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン)のようなカッティングギターに、戦闘モードのようなギターフレーズなどを取り入れている。

 

『WAR MUSIC(戦う音楽)』と名付けられた今作では、資本主義や腐敗した政治と戦うことがテーマ。 “Malfire(マルファイア)”では、ヨーロッパで台頭しつつあるファシストの首相の政策のせいで難民たちが増えている事実について歌い、“Economy of Death(経済の死)”では、労働者からの搾取で巨万の富を築く資本家や、新自由主義という経済システムの最後に行きつく顛末は戦争であると、怒りと懸念をもって述べている。そして“Damaged Ⅲ(ダメージドⅢ)”は、Black Flag(ブラッグ・フラッグ)のデビュー作、『Damaged (ダメージド)』に収録されていた“Damaged Ⅰ”、“Damaged Ⅱ”の続編といえるパートⅢの内容で、ここでは戦争による暴力によって、私はダメージを受けたと自己の傷心について歌っている。

 

その歌詞からは、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンばりの政治家や富裕層への怒りを感じる。だがサウンド的には、『ザ・シェイプ・オブ・パンク・トゥ・カム』にあった前衛的な姿勢や、世の中を変えてやるという意欲はやや後退している。聴き手を鼓舞させるような煽情性や激しく熱力が伝わってくるような迫力はあまりないが、そこには腐敗した世の中を是正していこうとする意欲を感じることができる。巨大な権力に屈服し、沈黙を守り、自主規制するバンドが多いなか、彼らの発言はストレートだし、本気なのだ。直截的なポリティカル思想にあふれた作品なのだ。