1, 2, 3, 4, BLAST!
Grindcore Tribute to Ramones 2018(グラインドコア・トリビュート・トゥ・ラモーンズ)

18年に発表されたグラインド・コア・バンドによるRAMONESのトリビュート。TOTAL FUCKING DESTRUCTIONからBAGAまで、世界中のグラインドコアにこだわりを持ったバンドたちが、総勢25組が集まりRAMONESをカヴァー。パンク・バンドのRAMONESを、グラインド・コアにアレンジしたトリビュートなのだ。

 

カヴァーアルバムといえば、大抵のバンドたちが、原曲の良さを残しつつ、それでいて自分たちの個性を加えるといった内容が多い。だがここに収録されているバンドたちは、どれもRAMONESがエキサイトしてオーバードライブしたようなサウンド。よりファストに、よりラウドに、よりスピーディーに、なにより熱くカヴァーしているのだ。

 

ここに収録されているバンドは、
イタリアのグラインド・コア・バンドDYSMORFIC。
Takafumi Matsubara(タカフミ・マツバラ)率いる日本のグラインド・コア・バンドRETORTION TERROR。
イギリスはロンドンのグラインド・コア・バンドTHE BROOD。
アメリカはニューヨークのデジタル・グラインド・コア・バンドKINDERGARTEN HAZING RITUAL。
無国籍のノイズ・グラインド・バンドのTHE SYMBOLIST。
シリアスでデスメタルな要素が強いフロリダのグラインド・コア・バンドSWAMP GAS。
この作品が初収録となるRAMOGRINDFIN1234。
ブラジルはリオデジャネイロのグラインド・コア・バンドBAGA。
オランダのグラインド・コア・バンドCOLLISION。
エクアドルのグラインド・コア・バンドGALE。
ロシアのグラインド・コア・バンドMxAxMxA。
一人でグラインド・コアをやるクレイジー・ワンマン・バンドPARANOID EXISTENCE。
元BRUTAL TRUTH(ブルータル・トゥルース)のリッチ・ホークが中心のバンドTOTAL FUCKING DESTRUCTION。
ドイツはハンブルグのグラインド・コア・バンドINHALER。
レジストで反体制色が強いニューヨークのグラインド・コア・バンドCONCLAVE OF LEECHES。
グラインド・コアをポップパンク化したHOT COPS。
アルゼンチンのグラインド・コア・バンドSYSTEM DESTROYER。
セルビアのグラインド・コア・バンドDISHATE。
オーストリアのグラインド・コア・バンドTERRORAIN。
フィンランドのグラインド・コア・バンドTOLERANCE。
アルゼンチンのグラインド・コア・バンドVERGOTTEN。
自らをグラインドックン・ロールと名乗りファストでポップなサウンドを展開しているイギリスのEMISSARIES OF SYN。
エログロな要素の強いバージニア州出身のポルノ・グラインドのSWAMP NUTS。
セルビアのグラインド・コア・バンドSOLINKOR。
エクアドル出身のブラスト・ビーツ&ハーシュ・ノイズ・ウォールズと名乗るMENTOR GRIND。
の計25バンドが収録されている。

 

原曲のよさを残しつつ、自分たちの個性とブレンドしたのがWAMP GASがカヴァーした“ I Just Wanna Have Something To Do”と、RAMOGRINDFIN1234がカヴァーした“Psycho Therapy”。

 

原曲をさらに過激にノイズまみれにしたのが、THE SYMBOLISTがカヴァーした“Animal Boy”。

 

そして、ここまでくるともはや原曲の面影がないのがRETORTION TERRORがカヴァーした”I Wanna Live”と、SWAMP NUTSの“Bop ‘Till You Drop”のメタルまみれのカヴァー。

 

そのなかでもとくに印象的だったバンドは、TOTAL FUCKING DESTRUCTIONとTOLERANCEとMENTOR GRIND。TOTAL FUCKING DESTRUCTIONの“I Wanna Be Sedated”のカヴァーは、原曲のボーカルの歌いまわしを残しながら、デジタルポップな、先鋭的なグラインド・コアを展開。TOLERANCEの“Oh Oh I Love Her So”のカヴァーは、汚水がごぼごぼ湧き出る下水道ボーカルとノイズまみれのひどい録音状態のサウンドだが、そこにグラインド・コアというジャンルの真意を感じる。MENTOR GRINDの“ Surfin’ Bird”カヴァーは、グライド・コア・ポップとでも呼ぶべき特質したサウンドで、ブラストビートを牧歌的なポップさと掛け合わせている。

 

RAMONESとはパンクの創始者であり、3コードのワンパターンなサウンドを、これほどバラエティー豊富に多くの曲を残したバンドも他にはいない。今回どのバンドも、グラインドコアという枠のなかで、多彩なアレンジで曲を提供してくれた。ラモーンズのあたえた影響は大きく、より過激に、アンダーグランドのキワモノでありたいという反骨的な精神は後世にしっかりと受け継がれているのだ。グラインド・コアの激しさのなかに、笑いやシリアスさがあり、独特なユーモアが詰まったトリビュートなのだ。

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