Change(チャンジ)
『 Closer Still(クローザー・スティル)』

シアトル出身のユースクルー系ストレートエッジ・バンドのデビュー作。アメリカで評価がかなり高い作品で、ユースクルー・リバイバル・シーンではありえなかった、ユース・クルーの進化系サウンドを展開している。

 

Uniform Choice(ユニフォーム・チョイス)やInstead(インステッド)、YOUTH OF TODAY(ユース・オブ・トゥディ)などのユースクルー・サウンドをベースに、メロディーのバラエティーが豊富なギター、挑発的にブンブンうねるベースなどを加え、さらに進化させた。静かに厳かに闘争心をかきたてるギター。ドスの効いた男くさいOiコーラス。そこには絶望や困難に正面から立ち向かうような気合の入った姿勢がうかがえる。

 

歌詞は、喪失や不安、鬱病などの心の病との闘い、という内容が占められている。とくに“Beyond(ビヨウンド)”では、<私たちはとても孤独で孤立の壁の後ろには魂の荒廃がある>と、鬱病の病んだ精神について歌い、心の中で叫んでも誰にもわかってもらえない孤立の苦しみが伝わってくる内容だ。

 

バンドであるChange(変化)とは、変わらなければいけない自分、変わっていける自分、という意味が込められている。鬱病から立ち直るための手段。絶望から希望へと変わっていくための心の変化。社会も自分自身も欠点を受け入れ、ともに成長していく。そんな理想論を掲げ活動しているバンドなのだ。

 

サウンド的にもかなりユニークな個性があるし、ユースクルー・リバイバルのなかでは圧倒的に飛びぬけていい作品。2020年のハードコア・ベスト10のなかに入るほど、個人的に好きな作品。