コネティカット州出身のノイズ系ハードコア・バンドの2作目となるフルアルバム。かなり卑猥なパンク・アティテュードを展開しているバンドだ。
日本語で<性交・肉体関係>という意味のバンド名をもつIntercourse (インタコース)は、クレイジーでイカれたアティテュードをもったバンドだ。女性とゴキブリの獣姦から、ナイフでチ〇ポをそぎ落とす写真、つのだじろうの世界観のようなオカルト、地獄の悪魔が人を殺す残虐な絵図、水面に浮かんだ大量のゴミ、汚物、エロ、グロ、低俗で最低最悪で、この世の汚さをすべて集めたバンドなのだ。
BIG BOYS(ビック・ボーイズ)やDICKS(ディックス)などのテキサス・ハードコアに、BLACK FLAG (ブラッグ・フラッグ)のストロングさを足した変則的なリズムのエクスペリメンタルなパンクのデビュー作の『Intercourse(インタコース)』と2作目の『Enablers(イネーブラー)』。ノイズロックを取り入れた『Pissing Into the Abyss(ピシング・イントゥ・ザ・アビス)』。エクスペリメンタルなパンクとノイズロックを合わせ、その上にさらにConverge (コンヴァージ)のようなマスロックを合わた『Everything Is Pornography When You’ve Got An Imagination(エヴリシング・イズ・ポルノグラフィー ホエン・ユーヴ・ガット・アン・イマジネーション)』と『Bum Wine(バム・ワイン)』。アルバムを重ねるごとにいろいろな要素を重ね合わせ、自分たちのスタイルを構築してきた。
そして最高傑作と呼ぶべき今作では、かなり実験的で、今まで聴いたことのないとてつもないサウンドを展開している。ノイズロックを中心に、LOCUST (ロカスト)のような壊れた掃除機のようなキーボード、不規則で不協和音な独特なリズムを刻むドラムとベース、浮浪者の発狂のようなボーカル、あらゆる不快なサウンドが一体となり、まるで口から吐かれた大量のゲロが土石流のように襲い掛かってくる。いろんなジャンルの音楽をジャンクし、クレイジーなアティテュードだったButthole Surfers(バットホール・サーファーズ)のノイズ・ハードコア版でも呼ぶべきか?ここではそんなジャンクセンスとクレイジーな狂気にあふれている。
歌詞は、リストラ、失業、ゴミ、セックス、アルコール依存、近親相姦、無教育、不健康、性病、ポルノなどの言葉の暗喩に、<あなたが想像力を得たとき、何事もポルノに通じる>という意味が隠されていたり、相当イカれた世界観を構築している。
サウンドも歌詞もアティテュードすべてが、卑猥で狂気に満ちている。塩振りおじさんに似たいかがわしいルックスも最高。間違いなく昨年のハードコア・ベスト5に入る素晴らしい作品だ。