Rejection Pact(リジェクション・パクト)
『CAN WE WAIT? (キャン・ウィ・ウエイト)』

アイダホ州ボイシ出身のメロディック・ハードコア・バンドの2作目。AMERICAN NIGHTMARE(アメリカン・ナイトメア)やMODERN LIFE IS WAR(モダンライフ・イズ・ウォー)、PAINT IT BLACK(ペイント・イット・ブラッグ)などのバンドから影響を受けたエモ色が強いメロディック・ハードコア。

シンプルなハードコアをベースに、骨太なギターと火花のようなメロディーが絡み合う、気合の入ったサウンド。Oiコーラスと、犯罪を断罪するような直截的でメッセージを強調したボーカルの怒声が、疑問や危機をもてと捲し立てていく。

バンドメンバーには、SEOエンジニアが在籍しており、言葉選びのセンスと注目されるワードを重点に置いた歌詞制作が魅力だそうだ。歌詞はアメリカ社会や政治問題を取り上げた内容が多い。“Indifference is the Enemy(無関心は敵)”では、政治に無関心でいると、特権階級の人たちは戦争を起こし、戦争に行き犠牲になるのはいつも庶民階級層にあると訴えかけ、“Social Murder (社会的殺人)”大企業に賃金を搾取され生活が困窮することへの怒りを歌い、“集団意志”では集団的アイデンティティというその地域特有の因習に疑問を持ち、本当の自分を探せと訴えかけている。

Rejection Pact(リジェクション・パクト)のパンク/ハードコア精神とは、特権階級だけが豊かさを享受するアメリカ社会に疑問を持ち、自分の意志で立ち上がれと訴える姿勢にあるのだ。誰もが平和で幸せな世の中が続くために。

サウンド的には目新しさこそないが、求心力があり、心が燃え滾るような熱い気持ちにさせてくれる、パンク/ハードコア精神を持ったバンドなのだ。