Risk(リスク)
『MONOLOGUE Of MISERY(モノローグ・オブ・ミザリー)』

ボストン出身の新世代ハードコア・バンドのデビュー作。

ボストンを含めたマサーチュウセッツ州といえば、メタルコアというジャンルを生んだ土地で、メタルとハードコアの融合に失敗したバンドも多くいたが、古くからハードコアとメタルの折衷スタイルが盛んな土地だ。

Risk(リスク)がメタルコアではない新しいスタイルのクロスオーバーのバンドとして括られている理由は、独特なスタイルにある。

SHIPWRECK A.D. (シップレックA.D.)とGuns Up!(ガンズ・アップ)にPowertrip(パワートリップ)とAnthrax(アンスラックス)を融合したクロスオーバー。彼らのサウンドは独特で、メタルのリフとハードコアの重さを融合したノイジーなギターに、鎮静する厳かなベース、悲痛な叫び声のボーカル、終始スローテンポでグルーヴを重視したサウンドで、ダウナーな感情に根差したクロスオーバーだ。

歌詞は“Prologue To The Pain(痛みへのプロローグ)”、“47 Days Spent In Hell (地獄で過ごした47日間)”、“Loss (負け)”など、ネガティヴで、苦痛を伴う気分が塞ぐような内容が多い。だが最後の“エピローグ5-15”で、すべての苦痛から解放され、天国へ向かっていくような讃美歌のコーラスで、劇的な結末を迎える。

叫び声のシンガロングスタイルや、ミドルテンポの曲、メタルフレーズをノイズギターで弾くサウンドという部分では、Jesus Piece(ジーザス・ピース)や同郷のVein.fm(ヴェインfm)に通じる部分がある。ダウナーな要素が根源にあるRisk(リスク)のサウンドは、まちがいなく新しいスタイルの新世代ハードコアだ。