テキサス州はフォートワース出身のハードコア・バンドのデビュー作。フォートワースとは、ダラスの隣にある都市で、アメリカのなかでも保守的なイメージが強い土地である。だがテキサス全体でみると、独創性にあふれたバンドが多く、Ozone(オゾン)もオリジテルティーあふれるハードコアを展開している。
そのサウンドは、イギリスのハードコアからの影響が強い、ノイズ度が強いハードコア。攻撃的にザクザク刻むリフ、警告音のようなフレーズ、ギターの音すべてが荒々しいノイズに覆われた土煙の強いハードコア。テキサスらしいサザンロックぽいフレーズや、カウボーイ・スタイルなどの取り入れ、ノイズコアをかなり独特に進化させている。
彼らの主張や主義に関しては正直分からない。だが<本当の気持ちを口にするな>と歌った“One of Us(ワン・オブ・アス)”や、<あなたが私のことを何と言おうがかまわない>という歌詞の“Can’t Take This Away(誰にも奪えぬこの想い)”、“Nothing New(新しいものは何もない)”という歌詞からは、自分の周りには保守的な考えが多く、疎外感やOzone(オゾン)の好きなものや主張が、少数派であると感じているようだ。
テキサス・カウボーイをハードコアと融合したかなり独特なオリジナルティーがある。このサウンドはノイズ・コアというハードコアの一ジャンルの進化の最前線にいる。20年以降のアメリカのハードコア・バンドで、Ozone(オゾン)と同じようなサウンドスタイルのバンドは一人もいないだろう。それほど独創性にあふれている。個人的にはベスト10に入ってくるほど、かなり好きなバンドだ。