Night Verses(ナイト・ヴァース)
『Every Sound Has A Color In The Valley Of Night: Part One(エヴリ・サウンド・ハズ・ア・カラー・イン・ザ・ヴァリー・オブ・ナイト:パート1)』

カルフォルニア州フラートン出身のプログレッシブ・ロック・バンドの3作目。ボーカルのないインストルメンタルなバンドで、ギターエフェクトからコンガドラムにいたるまで多彩な楽器を使ったサウンドが特徴。

Night Verses(ナイト・ヴァース)の場合、ニュークリア―トリオのようなミニマムなインストルメンタルとは違い、より複雑で多彩なジャンルを取り込んだサウンドを展開している。ギターエフェクトから複雑なリズムセクション、宇宙をイメージさせるスペイシーなメロディー、シュケイザー、ヘヴィーなメタルのリフ、アフリカのコンガドラム、アラビアンなメロディー、地獄のヘヴィーな音から桃源郷のような穏やかなフレーズへと、くるくる変わっていく曲展開が特徴だ。

ダブルアルバムの第一弾である今作では、禍々しい神に祈りをささげているような呪術的なサイケデリックを中心としたインストルメンタルに変化した。インストルメンタルの形骸なギターに、幻想的で禍々しくも不吉なメロディー、呪術的なサイケディック、七色の光線を放ちながらマシンガンのような連射するドラム、穏やかで浮遊感のあるメロディーに、悪魔に祈りささげているような背徳感を感じつつも、どこか心の平穏を感じさせる、穏やかさと暴虐さに満ちあふれたアンビバレンスなサウンドスケープ。呪術的でスペイシーありながらも、心の平穏にあふれた不思議な音色の新しいスタイルのプログレッシブ・ロック。

Mars Volta(マーズ・ヴォルタ)を経てさらに進化したプログレッシブ・ロックだが、このバンドがさらに進化させたといっても過言ではない素晴らしい作品だ。