Ukraine Benefit Compilation(ウクライナ・ベネフィット・コレクション) (2022)
Epitaph Records(エピタフ・レコーズ)からリリースされた、ロシア・ウクライナ戦争におけるウクライナの福祉支援を目的とした2022年発表のコンピレーション・アルバム。アルバム収益の100%は、国境なき医師団による人道支援に寄付されるという。参加アーティストは Bad Religion(バッド・レリジョン)、Rancid(ランシド)、Pennywise(ペニーワイズ)、Millencolin(ミレンコリン)、Converge(コンヴァージ)、Thrice(スライス)、The Ghost Inside(ザ・ゴースト・インサイド)など、Epitaph Records(エピタフ・レコーズ)を代表する面々が名を連ねている。
Bad Religion(バッド・レリジョン)の「My Sanity(マイ・サニティー)」では、社会的・政治的崩壊を背景に、「個人の拠り所」としての正気を求め、狂った世界に置き去りにされた人間が「自分はまだまともだ」と祈るように唱える姿が描かれている。一方、Converge(コンヴァージ)の「Eye of the Quarrel(争いの目)」では、誰がこの機能不全を招いたのか、いまだに疑問を抱き続ける心情が歌われている。
Thrice(スライス)の「Scavengers(スカベンジャーズ)」では、重い翼と腐敗の騒音をまとい、ごみや死体をあさるスカベンジャーの動物と、ロシアの権力的暴力を重ね合わせて歌っている。
ごく平和な日常から突如悪夢のような人生の転換に陥り、毎晩うなされる様子を歌った Millencolin(ミレンコリン)の「Every Night(毎晩)」をはじめ、多くのバンドが、ロシアによる暴力の背景にある狂気じみた感情や、恐怖と残酷さの中で正気を保とうとする人間の姿をテーマにしている。
このコンピレーションアルバムのコンセプトは、ウクライナで医療を必要とする人々への支援や、栄養失調の子どもたちへの食糧援助にある。戦争は何ひとつ良いものを生み出さない。早く戦争が終わることを願わずにはいられない――そんな思いを強く喚起させるコンピレーションアルバムだ。