オランダはルールモント出身のスラミング・ビートダウン・ハードコア・バンドの2023年に発表したデビューEP。
ミドルテンポのビートダウン・ハードコアに、デスコアの凶悪なリフ、ピッグスィールの不快な叫び声、強烈な一撃のビートダウンなどの悪の瘴気を詰め込んだスラミング要素がかなり強いビートダウン・ハードコア。
歌詞は「軽蔑された」「限界点」「精神的に苦しむ」など、嫌いな奴への憎悪と怒りなどのタフガイの心情を歌っている。
まるでゴミに埋もれた街角の、社会崩壊や秩序の喪失などの治安の悪さをイメージさせる。かなり不快な音を詰め込んだ作品。
アルバムレビュー
RAZOR WIRE(レザー・ワイヤー)
『STRAIGHT TO THE POINT(ストレート・トゥ・ザ・ポイント)』
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チェコ出身のビートダウン・ハードコア・バンドによるデビューEP。No Face No Case(ノー・フェイス・ノー・ケース)のギタリスト、Matt Yakeshと、ヴォーカルのVojta “808Kid” Římalによる2人組ユニット。
No Face No Case(ノー・フェイス・ノー・ケース)が展開する、ビートダウン・ハードコアにデスコアを融合させたスタイルをさらに押し進め、より過激な音像を追求している。極限まで歪ませたギターが破壊的な音を刻み、怨霊のうめきのようなヴォーカルによるシンガロング、不規則に叩きつけられるドラムとギターが、混沌とした空気を生み出す。ここでは、ビートダウン・ハードコアというよりも、不快なノイズとヘヴィネスを極限まで研ぎ澄ましたデスコアが鳴り響いている。
その過激なサウンドとは裏腹に、パーカー姿のキャラクターが描かれたポップなアルバム・ジャケットや、壁の落書きアートを意識したPVからは、ギャング的なアティテュードではなく、ストリートの若者らしいカジュアルさが感じられる。憎悪や嫉み、不快な音だけを追い求めるバンドではない。トレンドの最先端を意識した、スタイリッシュで柔軟な感性が息づく作品だ。
Borys(ボリス)
『penumbra(ペナンブラ)』
ホンジュラスは、テグシガルパ出身のスラム/ビートダウン・ハードコア・バンドによるデビュー・シングル。
GRIMLOCK(グリムロック)からの影響が色濃いビートダウン・ハードコアを基盤に、メタルコアのリフ、独特なテンポとリズム、劇的に落とすビートダウン、ピッグスィール、モールス信号のようなドラムなどを融合。さらに、Zulu(ズール)のようなヘヴィネスとソウルフルな美しさが交錯する展開を取り入れ、独自の進化を遂げたビートダウン・ハードコアを展開している。
犯罪や凶悪さを前面に押し出す従来のビートダウン・ハードコアとは一線を画し、オリジナリティあふれるサウンドを追求。アメリカやヨーロッパのバンドには見られない、独特で印象的なフレーズの組み合わせ方が際立っている。
まだシングル1曲しか発表していないが、このバンドにしかないオリジナルティがあり、次に発表されるであろうEPがかなり期待できる作品。