Nothing Personal (Ocrd) All Time Low Hopeless Records 2009-07-06 |
極上のポップな作品に仕上がった09年発表のデビュー作。今作では、エレクトロポップやアメリカンポップの要素を取り入れ、一度聞いたらつい口ずさみたくなるほど、キャッチーな作品に仕上がった。だからといって限りなくノー天気で明るい作品というわけでもない。甘いポップの断片にほのかに漂う、ナイーヴさや、あきらめにも似た切なさがある。そういった意味では前作から変わっていないのだ。
歌詞には「そんな気持ちで過ごす後悔だらけの人生」や、「こういうくだらないゲームで自制心を失っている」といった内容が目立ち、ほどんどが恋愛のことについて語られているが、そこには熱く盛り上がることに醒めた視線や、あきらめにも似た感情が支配している。彼らの表現したい世界観とは、叶うことのない夢や理想への切なさやシニカルな想い。そういった感情を表現したいのだろう。
だがそういった想いを歌にしたバンドは、メロディックパンク界ではいなかった。しかもいままでのメロディックパンクとは、ストレスを発散させ、開放的でエネルギッシュなバンドがほとんどだった。そういった意味ではいまどきの若者のようにどこか醒めた視線が彼らにはある。そういった意味で彼らは、新世代を代表するメロディックパンクバンドなのだ。