![]() | オール・アメリカン・リジェクツ オール・アメリカン・リジェクツ USMジャパン 2012-03-20 |
これはいい。落ち込んだ気持ちを、元気にさせてくれる。いまやエモの重鎮として語られているAARのデビュー作。真夏の太陽のようにギラギラとして終始ハイテンションで歌うボーカル。水しぶきのようにピョンピョン跳ねる躍動感あるピアノやキーボード。青空のように軽快なアコースティックギターとルーズで放牧なギター。それらが楽しい夏の思い出のように絡み合い、アメリカ中部の水平線が続く広大な台地をイメージさせる。毒気や悲しみのかけらが一切ない、明るく爽やかで開放的なポップサウンド。
打ち込みのドラムとプログラミングを使い、ボーカルのタイソンとギターのニックの2人で作られた作品で、世間では大衆的なパワーポップという言われ方をしている。インタビューでは、ボンジョヴィやキッスなどのオーソドックスなアメリカンロックから影響を受けていると言っているが、この時点では、ジミー・イート・ワールドや、ウィーザーなどのオルタナティヴなパンク系の影響が強い。歌詞はタイソンの高校時代のガールフレンドとの恋愛の内容。大半が、好きな人から離れていく未練や、一途な片思いばかりで、自分の気持ちを歌っている。だがそこには、うそ偽りない、自分の気持ちをさらけ出している。これだけ正直で、一方向に突き抜けたバンドも珍しい。