Move Along All-American Rejects Interscope Records 2005-07-07 |
水しぶきが飛び散るようなピアノやキーボードがなくなり、激しいコードギターが中心になったサウンドに変化した2nd。といっても、ハイテンションで歌うボーカルや、真夏の日差しのような明るい開放感に変わりはない。変わったところといえば、これまで抑えていた、ゴージャスで派手な、80年代のアメリカンロック的要素が全面に出たところか。ほかにも蛙の鳴き声のような擬音やカッティングギターや、賛美歌のようなコーラスなど、いろいろなものを取り入れている。どれを取っても彼らのテクニックや趣味が爆発している。ほかにも若干愁いを帯びたバラードなど、新機軸がある。
この作品では、パワーポップやエモからの影響はまったく感じない。80年代MTVやアメリカを席巻していたゴージャスなアメリカンロックを取り入れ、恥じらいもなく堂々とリスペクトしている。そういった意味では、オルタナやメロコアなどのインディーロックからの影響が強いエモシーンでは、まったくもって新しいサウンドだ。歌詞は、お互いの悩みや苦労を話し合って共に乗り越えていこうとか、お互いの気持ちのすれ違い、別れを自分から切り出すなど、個人的な自分の気持ちよりも、自分から見た彼女や他者という視点で語られている。相手の気持ちを理解した上での歌詞だから、慰められ、励まされる。アメリカンロックを現代に復活させ、オクラホマ特有の開放感と融合させた。それが彼らの目指していた音楽スタイルなのだろう。そうった意味ではこの作品でその個性を完成させた。ハイブリットな作品だ。