All’s Well That Ends Well Chiodos Equal Vision Records 2005-07-25 |
05年発表のデビュー作。スクリーモというジャンルでカテゴライズされているチオドスだが、スクリーモ界では第二世代のバンドに当たる。第一世代はザ・ユーズドやテイキング・バック・サンディー、サーズディなどで、綺麗で繊細なメロディーを持ち、エモーショナルがスクリームに変化したバンドたちだ。スクリーモというオリジナルなサウンドを確立し、先駆者として語られている。そんな彼らたちと比べると、チオドスは第二世代のバンドに当たる。その第二世代のバンドたちとは、確立されたスクリーモ・サウンドに、プラスアルファーの要素を加えたバンドたちだ。たとえばセイオシンは、美声とスクリームで美と醜の二律背反する要素をうまく融合させた。アンダーオースはカオティック・ハードコアをベースにスクリームを加え、そこにクリスチャンの思想とコーラスを加えた。そしてチオドスは、スクリーモというサウンド・フォーマットに、クラシックの要素を加えた。彼らも新しいスタイルのスクリーモを提示したバンドなのだ。
そんなCHIODOS(チオドス)の世界観とは、シェイクスピアの小説やギリシャ神話のような世界観。そこには神の怒りを買い、天罰を受けるようなドラマティックな悲劇がある。優雅で上品に静かに響くピアノには、精神的に脆く崩れそうな悲しみが感じられ、心の破綻を表すかのような苦痛の絶叫が響き渡る。セイオシンやスカイリッド・ドライブのような二律背反や2面性とは違い、悲しみの告白から苦痛のスクリームへと感情が高ぶっていくスタイルだ。その脆く崩れそうな繊細さが、絶叫と交えた暴力的なサウンドが彼らの特徴で、ギリシャ神話のような芸術的な美しさが壊れていく瞬間こそ、彼らの描いている世界観なのだ。
この作品の3年後に、ボーカルのクレイグ・オーウェンズが精神安定剤の大量摂取でオーバードースになり病院に運ばれるという事故が起きたが、その出来事がこのバンドのサウンドを象徴している出来事といえるだろう。それほと繊細で脆い精神の持ち主が、作品を作っていたのだ。