Alter the Ending (Dlx) Dashboard Confessional Vagrant Records 2009-11-16 |
09年発表の6枚目。ここでは隙間なく音を詰め込んだロックサウンドを展開。相変わらずミディアムテンポのリズム感と、練りにねったメロディーフレーズに、変わりがない。新しさといえば、リヴァーヴのかかったボーカルと、デジタルサウンドやピアノ、キーボードを導入したことくらいか。
ダッシュボード・コンフェッショナルはけっしてジミー・イート・ワールドのように、自分たちにしかない独特なメロディーを持ったバンドではない。サウンド的にも違ったジャンルから音楽性を取り入れるということが少ない。彼らしかない個性をいえば、クリス・ギャラハーの、透明でありながらも、熱身を帯び、力のこもった歌声にあるといえるだろう。彼の歌声を聴いただけでダッシュボード・コンフェッショナルと分かる。それほど説得力のあるボーカルなのだ。
今作では前作で覚えた押し引きのあるボーカルスタイルと、実験的に奏でられた多彩なギターフレーズが、集大成的にまとめられている。とくにボーカルは、いろいろな歌い方をしているし、余分な力が抜け、確実にうまくなっている。
ミニマムよりもマキシマムといった完璧性を求めていた彼らだが、ここで目指していた音楽性が、完成したかのように思える。それほど完璧な形で構築され、隙がない。いままで発表した作品のなかで、一番完成度の高い作品だ。
なお初回限定の青盤のほうは2枚組みで、このアルバムのアコースティックヴァージョンが収録されている。