11年のクリスマスに配信された10曲入りの3枚目。個人的にはもっとアラブっぽいメロディーのサウンドを期待していたが、ほとんどの曲がラモーンズ直系の初期パンク。しかもかなり丁寧に演奏されている。だが彼らにとっては、新境地を開いた作品といえるだろう。地鳴りをあげるようなギターコード、深い地の底から湧き出るようなゆったりとしたリズム、まるで彼らが生息しているアンダーグランドシーンを体現しているような扇情的なパンク・サウンドだ。またところどころに、アラブの要素を取り入れている。たとえば3曲目の“ディスコ・アンクル”や10曲目の“Bhung Ho”など、アラブ特有の神秘的で弛緩した気だるいメロディーがある。個人的にはもっとラディカルなパンクサウンドに、アラブのメロディーを取り入れて、彼らにしかありえないサウンドを展開して欲しかった。そうすればもっと、面白い作品に仕上がったのでは。
でもこれだけクオリティーの高い作品を無料で配信するところに、彼らの音楽に対する意気込みを感じるし、パンクを貫く姿勢は評価できる。個人的には、もっと有名になって欲しい。