Darkside NYC (ダークサイド・NYC)
『 Optimism Is Self-Deception: Vols. 1& 2 (オプティイズム・イズ・セルフ-ディセプション:Vols.1&2)』

Optimism Is Self-deception: Vols.1 & 2
Darkside Nyc

2015-02-27
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デスコアの創始者であり、日本では極悪ハードコアと呼ばれたsheer trerer。その元メンバーであるギタリストのブレイクによって結成されたのがダークサイド・NYCだ。98年にファースト・アルバムを発表しているようだが、その17年間にたまった曲を収録したのが、今回発売された『オプティイズム・イズ・セルフ-ディセプション:Vols.1&2』だ。

 

そのサウンドは、ヘルハマーやセルティック・フロストに影響を受けたブラック、ゴジックメタルとマイナースレットのスピーディーなハードコアをベースに、ノイズやグラインドコアなどの要素を加えている。メンバー自身、マーフィーズ・ローやシック・オブ・イットオールらと同世代で、オールド・スクールな部類に入る。といってもけっしてノスタルジーなサウンドではない。むしろニューヨーク・ハードコアの最先端を行っているバンドといえるだろう。

 

その理由は、昨年発売されたニューヨーク・ハードコアの最先端のサウンドのバンドを集めたコンピレーション、V.A.『NYC Ground Zero』に共通している部分を感じるからだ。彼らとは世代も違うし、おそらく交流もないだろう。V.A.『NYC Ground Zero』からのサウンド的な影響を、この作品から感じることはまったくない。だが両者に共通しているのは、ノイジーなサウンドを展開している部分だ。とくにダークサイド・NYCは、日本のノイズの先駆者、灰野敬二の影響を色濃く感じる。激流のように渦を巻くノイズ音が、性急なスピードに代わり、ボーカルの叫び声が地の底から熱い感情を召喚していく。躁病的な焦燥で攻撃的で怒り狂ったハードコア・サウンド。ここではニュースクール・ハードコアやメタルコアとはまったく異なるベクトルのサウンドを展開している。まさにニューヨーク・ハードコアの最先端なのだ。