How to Ruin Everything Face to Face Vagrant Records 2002-04-09 |
長年フェイストゥフェイスを支えたセカンドギターのチャドが抜け、3人になった02年発表の5作目。当時のぼくは彼らに興味をなくしていたが、あらためて聴きなおしてみると、よくできている。初期3枚を超えるアルバムではないが、これはこれでいい作品。
いままで彼らの代名詞のひとつであった、性急なビートのメロコアはなくなり、8ビートにテンポを落とした初期パンクに変化した。ポップな曲はなく、ハードエッジでゴリゴリとした荒い曲ばかり。やはりギターが一人になったため、音の厚みがなくなった。だが、それが功を奏してか、骨組みだけのシンプルなサウンドは、分厚いギターサウンドよりも、ダイレクトに熱さが伝わってくる。気合いの入ったコーラスと力強いリズムを刻むドラムは、武骨で男臭く熱い。まさにシンプル・イズ・ベスト。
前作はヤケになったような衝動が全面に出ていたが、今作では開き直ったような迷いのなさを感じ、スコーンと突き抜けている。好きでやっている感じが伝わってくる。だから聴いていて清々しい気持ちになる。このアルバムを発表する前に、彼らはバンドを解散することを決めていたが、最後ぐらい開き直って、熱く男くさく演ろうと決意したのではないか。そんな気持ちがアルバムに確実に反映されている。
彼らはこのあと、桜が散るように潔く爽やかに解散していった。その去り際を印象付ける作品であり、とても好感が持てる。