リアクショナリィ フェイス・トゥ・フェイス ビクターエンタテインメント 2000-06-14 |
スピーディーで荒々しいメロコアに原点回帰した00年発表の5作目。前作からわずか1年あまりの間で、この作品は作られた。その理由は不発に終わった前作の挽回をするため、これだけ早いスパンで制作されたのだろう。レコーディングで録音された16曲を、ホームページ上で公開し、ファン投票によって選ばれた12曲を(日本盤は14曲)アルバムに収録したそうだ。
おそらく全作品のなかでこの作品が、いちばん激しくエナジフルなアルバムではないか。基本的には、荒々しいギターコードが中心のメロコア。1stや2ndのようなコーラスやコード進行に、カヴァーアルバムで学んだメロディーを加えた。ベースのリズムは独特で躍動しているし、メロディーのヴァラエティーも豊富。確実に進歩している。
だがそこには楽しさや切なさといった感情はない。どこか自暴自棄になっている印象を受ける。スピーディーで激しく、衝動にあふれたアルバムだが、ボーカル、トレーヴァーの叫び声からは、ヤケになっているような衝動を感じる。その理由はおそらく、前作の自分たちがやりたかったサウンドを、ファンに理解されないことへの苛立ちが、このアルバムを作るモチベーションになっているからだろう。アルバムのタイトルである『リアクショナリ』とは、保守反動という意味。このアルバムが、不本意ながらも、原点に立ち返らざる得なかった理由を示し、ヤケな気持ちがアルバムの衝動を担っていることを示唆している。
個人的には、もっと肩の力を抜いてリラックスして作ってほしかった。そうしたら、もっと好きになっていたはずのアルバムだ。