フィーバーは止まらない(初回限定盤) パニック!アット・ザ・ディスコ ワーナーミュージック・ジャパン 2007-01-16 |
05年発表のデビュー作。メロディック・パンク・シーンから現れたバンドだが、当時、彼らは新しかった。ライヴで人気が出たのではなく、自らの音源が気軽に試聴ができるソーシャルサイト、マイスペースから人気に火が点いたバントだからだ。自分のことはすべて自分でやったフガジや、カレッジ・ラジオのチャートから徐々に人気を獲得したR.E.Mに続き、新たな価値観を提示した。インターネット世代の新たなDIY精神を提示したバンドなのだ。
とはいっても、それだけで人気がでるわけではない。当時、マイスペースに音源をアップロードし、話題にならなかったバンドはたくさんいた。なのに彼らが人気がでた理由は、しっかりとした個性があったからだ。それはスカ・メロディックパンクに、スペイン音楽とディスコ・サウンドやポルカなどを加えたサウンドにある。
そこにはまるで中世のようなノスタルジーと、怪しい仮装パーティーのようないかがわしさと派手な華やかがある。まるで上流貴族の汚ない裏側のようだ。そしてその視点は、一貫してシニカル。軽快なスカのリズムにのせ、世間を嘲笑っているかのように冷めている。たとえば”機械が書いたロンドンが招いたお金の歌”の歌詞では、音楽評論家に向けて、<おそくらくやつらは、デジタルサウンドとスペイン音楽をスカ・パンクのリズムにくっ付けたくだらないバンドと、俺たちのことを評価するだろう>と歌ったり、この先起こるであろう未来を予見し、シニカルなメッセージを発している。
世の中くだならいことがたくさんあるけど、とことん嘲笑って、楽しく踊ろうぜ、という姿勢が素晴らしい。個人的には、彼らのなかで一番すきな作品。