This Will Be the Death of Us Set Your Goals Epitaph / Ada 2009-07-20 |
よりメロディアスになった09年発表の2作目。今作では東海岸のハードコアからの影響よりも、NOFX、ブリンク182、ゼブラベッドからの影響が強くなった。ギターも、野太いコードギターから、メロディーフレーズを取り入れ、メロディックサウンドに変化した。前作の80年代の変拍子のギターリフや男くさいコーラスを残しつつも、そこに90年代のメロディックパンクのエッセンスを加え、00年世代の彼らしかありえないオリジナルなサウンドを確立した作品といえるだろう。
だがメロディックに変化をしたからといって、決して底抜けに明るいサウンドではない。表面的な明るさの奥には、哀愁や、実直で真摯な気持ち、力強さなどが漂っている。歌詞も、メディアコントロールや、ほかのバンドへの感謝の気持ち、アメリカ社会で起きた事件など、外へ向けられた内容が増えた。自己啓発や内面な内容を歌った前作と比べると、意識が外の世界へ向けられている。
前作がハードコアを横なく愛し、先人たちへのリスペクトの念にあふれ、ポジティヴィティーという自らの信念やアイデンティティーを掲げたアルバムなら、今作ではそれを武器に、外の世界へ攻撃ないし、疑問意識を投げかけたアルバムといえる。まさに自分たちの存在を世間に証明したアルバムなのだ。相変わらず、このバンドのまじめさや真摯な気持ちが伝わってくるし、彼らは確実に成長を遂げている。