バージニア州リッチモンド出身のポスト・ハードコア・バンドの5曲入りのデビューEP。これがすごくいいバンドだ。アメリカではサイケ・パンク、もしくはアシッド・パンクと呼ばれており、トランシーなデジタル音やサイケデリックな要素を、シンプルなハードコア・パンクに加えたサウンドを展開している。
サンフランシスコのパンクバンド、Flipper(フリッパー)のようなエクスペリメンタルな要素を、ハードコア・パンクに落とし込み、より攻撃的に、よりトランシーに進化させたサウンド。テレビゲームのライフゲージが回復していくようなデジタル音。ゆったりとしたリズムで極限までゆがんだノイズギター。目が覚めるようなシャウトするボーカル。
そこにはビタミン剤のように聴くと疲れが吹っ飛ぶような活力とエナジーに満ち、激しい熱狂の渦のなかに漂う爽快感がある。まるで宇宙空間を漂っているような神秘的な浮遊感と、気分が高揚していく至福に満ちている。ノイジーで、トリッピーで、サイケデリックなハードコア・サウンド。
サイケデリックな要素をハードコアに融合させたという意味では、ニューヨーク・ハードコアのKALEIDOSCOPE (カレイドスコープ)やQuicksand(クイックサンド)と似ている。だが両バンドとは異なる方向性のポストハードコアを追求している。個人的にはベスト10はいるほど、好きなバンドだ。